コラム

中国の旅行会社が「新シルクロード」に日本メディアを招待した理由

2017年04月18日(火)16時03分

西安は今やおしゃれな国際的観光都市に

我が「新長安・新シルクロード・新夢路視察団」の最初の訪問地は西安であった。日本人が最も愛する中華王朝である唐の都、シルクロードの起点である。

10年以上前に西安を旅行したという知人の日本人ライター・K氏は「西安は古い建築ばかりですが、遅れた田舎町ですよ」と言っていた。どうしてどうして。急成長する中国の勢いはすさまじい。この10年間ですっかりおしゃれな国際的観光都市へと変貌していた。

1380年に建てられたという有名な西安鼓楼の近くにはイスラム街があり、K氏が訪れた時は回族(ムスリム)が住んでいるだけの、おんぼろの住宅街だったという。ところが今では復元された建築物が煌々とライトアップされ、楽しげな屋台が建ち並ぶ一大観光地へと変貌していた。

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ライトアップされた西安鐘楼(写真:土居悦子)

街をぶらぶらするだけでにぎわいが楽しめる。私はどちらかというと、碁盤の目のような町並みに目を奪われた。私が大好きな街、京都との関係性が気になったのだ。皆さんが歴史の授業で習ったとおり、京都は長安を模して作られた街である。現在も残る古建築、そして復元された町並みを見ると、長きにわたる日本と中国のつながりがはっきりと感じられる。

兵馬俑(秦の始皇帝の墓所に近い巨大な地下室に兵士や軍馬などの人形が多数収められている)や、碑林(宋の時代の孔子廟を利用してつくられた博物館で、石碑などを数多く収集・展示している)などの昔からある観光地も素晴らしかった。

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兵馬俑を見学する筆者(写真:西安天馬国際旅行社)

昭和や平成などの日本の年号は中国の古典から取られるが、その石碑が碑林に残されているという。無数に立ち並ぶ石碑のどこに昭和や平成という言葉があるのか、ゲーム感覚で捜してみても楽しいだろう。

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石碑や墓誌銘、石彫刻などを多数所蔵する碑林(写真:西安天馬国際旅行社)

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日本の年号「昭和」の「昭」と「和」が見えるだろうか。「百姓昭明、協和萬邦」が由来(写真:西安天馬国際旅行社)

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こちらは「平成」で「地平天成」から取られている。日本の次の年号は何になるだろうか(写真:西安天馬国際旅行社)

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

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