コラム

「ソ連崩壊後のロシア」と同じパターン...東南アジアで「サイバー犯罪大国」化が進む理由

2025年02月19日(水)16時52分

ロシアや東欧がサイバー犯罪大国になったのと同じパターン

その一環として、筆者が日本をはじめ世界的で外部脅威情勢管理(ETLM)ソリューションを展開しているサイファーマ社が最近、インドネシア国営通信会社グループから投資を受けることになった。インドネシアを含む東南アジアは、高度なサイバーセキュリティ・ソリューションに対する緊急のニーズが高まっている。進化するサイバーリスクから地域全体の組織を保護するためのプロアクティブにセキュリティ対策が進められることになる。

インドネシアの外交政策は歴史的に非同盟を重視する。アメリカと中国のバランスを取ることを目指し、最近の取り組みでは、経済関係と政治的相互関係の拡大に伴い、中国との関係修復も見られる。その一方で、インドネシア政府はアメリカとの強固な安全保障関係を維持している。こうした動きは中国との関係を緊張させるもので、地域の各国が主権と経済的利益を主張するにつれ、中国との緊張が高まる可能性がある。

インドネシアを含む東南アジアではさらに、地元発のサイバー犯罪も増えている。その背景は、ロシアなど東ヨーロッパの国々が、サイバー犯罪大国になっていったのと同じようなパターンが見受けられる。

東南アジアは成長著しいが、まだ経済的な機会が限られており、高スキルの仕事に対する賃金もまだ低い。これはソビエト連邦崩壊後に似ており、多くの熟練した個人が仕事を見つけることができず、サイバー犯罪に手を染めて、現在のように世界最大規模のサイバー犯罪シンジケートが生まれた。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

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