コラム

いま株価が上昇するのは「当たり前」...株高の「現実」が理解できず、状況を楽観する人々の危険な勘違いとは?

2023年06月06日(火)19時25分

過去のインフレでも状況を理解できなかった投資家が多数

インフレが発生している経済圏において株価が変動していないということは下落と同じ意味になるわけだが、この簡単な現実に多くの投資家が気付かない。

実際、深刻なインフレに見舞われた1970年代、アメリカの株価は10年間ほぼ横ばいだった。ところが物価は10年で2倍以上に高騰していたので、株価は暴落に近い状況だった。だが多くの投資家がその状況を理解できず、現実を認識したときには取り返しのつかない損失を抱えていた。

日本では過去30年間デフレが続き、ほとんど物価が上がらないことが常態化していたが、これは世界的に見てかなり異常な事態である。日本ではインフレの感覚を知らない投資家が増えており、さらにインフレが進んだ場合、一部の投資家は状況を把握できず損失を抱える可能性がある。

ちなみに今回の株高も、昨年、大幅に円安が進んだ現実を考えると、ドルベースでの価格はあまり変わっていないと見なすことも可能だ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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