コラム

ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか

2025年02月28日(金)19時00分

世界のメディアはこぞってロシアの思惑どおりと報じているが PHOTO ILLUSTRATION BY ARTEM PRIAKHINーSOPA IMAGESーREUTERS

<トランプの「アメリカファースト」が、物事は取引と力で決めるという新たな時代へ世界を引きずり込む>

ウクライナ停戦のプロセスが、ぎしぎしと音を立てながら始まった。この原稿を書き始めた2月20日には、トランプ米大統領がその前日に「ゼレンスキー大統領は(選挙もせずに居座る)独裁者だ」と言ったことで、世界のメディアは大騒ぎになり、ロシア人は「これでアメリカはロシアの側に立ってくれた」と思い込んだ。

皆、ちょっと気が早すぎる。シミュレーションしてみよう。トランプは、ゼレンスキーを排除しないと話が進まないと思っているし、もともと彼をバイデン寄りと思い込んで嫌っている。で、ウクライナで大統領選挙が行われるとどうなるか?


ゼレンスキー一派がゼレンスキーの出馬を認めるか、それとも別の候補を出して利権と権力を維持しようとするかで、展開は随分違ってくる。ゼレンスキーでは多数票は取れまい。昨年末の世論調査では、大統領選挙が行われたら、彼は24%の得票率で、36%のワレリー・ザルジニーに大差で敗北となる。ザルジニーは2022年のロシア軍侵入をはね返した時の軍総司令官で、今は駐英大使として遠ざけられている。

しかし新大統領が就任するまでにはあと数カ月はかかり、それまで戦いは続くだろう。春のぬかるみの中での戦いは、進むほう、つまりロシア側に不利。ロシアはそれほど占領地域を拡大できまい。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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