コラム

限界を迎える医療、軍事......制度疲労の近代国家とどう向き合えばいいのか

2023年08月05日(土)13時00分

1人でやっていける強い個人が増えたのかと思うとそうでもなく、大谷翔平のような傑物が誕生する一方で、政府に就職の斡旋まで期待するような無気力な学生も増えている。

つまり、議会、政府が機能不全になる一方、社会の要請は拡大している。先進諸国はいったい、今後どうすればいいのか?

「もう国が人間の面倒を見る必要はない。減税して国家機能を縮小し、政府の仕事は民営化すればいい」と言う人もいる。現にアメリカ、ロシアなどでは「戦争も民営化(一部だけ)」され、民間軍事会社、あるいは傭兵企業が林立している。アメリカでは医療保険が民営化されている。

しかし、それではやっていけないのだ。格差がひどくなりすぎないよう、政府は税制などをいつも調整し、困っている人たちには補助金を出さなければならない。

軍はどうする? 高齢者、女性を増やして、事務など危険性の少ない業務をしてもらえばいい。もちろんAI(人工知能)、ドローン、サイバー戦能力も大いに高める。

先進国の政府は「後期高齢化」現象を呈している。しかしこれをあっさり廃止してしまうのは暴論で、少しずつ変えていくしかないだろう。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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