コラム

中世の歴史が物語る中国の先行き

2023年04月15日(土)16時30分

そしてイギリスは現代の中国と同じく、大量の外資の流入を得て国力を増強した。17世紀末から当時の経済大国オランダの資本は高金利のイギリス国債に向かい、発行額の40%を保有するに至っている。

この中で近世までの中国に欠けていたものがある。それは、企業家精神・起業マインドだ。近世中国での立身出世は、「科挙に合格して官職を得、利得で土地を購入して老後を過ごす」という寄生型のものだったから、企業家精神とは好対照だ。今の中国にも同様の傾向があり、だからこそ中国経済の未来はおぼつかない。

「開発独裁」という言葉があるように、発展の初期には強権が有効だ。しかしその後は、強権はさらなる発展の障害となる。昔のソ連でも、一般市民の生活向上を最重要課題に掲げた共産党が、政権を取った後は自己保全のために、恐怖政治と計画経済を敷き、経済を麻痺させるに至った。

共産主義は、近代西欧文明が生んだものだ。人間の生活と権利を抑圧することは、近代西欧文明を自ら否定して中世に戻ろうとするもので、大いなる自己矛盾なのだ。中国の未来についての結論は......言わぬが花だろう。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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