マクロスコープ:日伊首脳16日に会談、「外交手腕」アピールなるか 経済関係に課題も
G20サミットで、高市早苗首相(中央)と挨拶するイタリアのメローニ首相。右はフランスのマクロン大統領。2025年11月、南アフリカのヨハネスブルグで代表撮影。REUTERS
Tamiyuki Kihara
[東京 13日 ロイター] - イタリアのメローニ首相が15日から来日し、翌日には高市早苗首相との首脳会談に臨む。日本政府は欧州で存在感を増すイタリアとの良好な関係を通じ、欧州や主要7カ国(G7)での発言力強化につなげたい考えだ。一方、日伊の経済関係には課題もあり、専門家は「近いようで遠い国」と指摘する。
<「味方」獲得なるか>
メローニ氏の来日は岸田政権時の24年2月以来約2年ぶり3回目。高市氏と対面するのは昨年11月に南アフリカで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)以来となる。昨秋にも来日が模索されたが、この間、高市氏が初の女性首相となったことで政府内には両首脳の関係深化へ期待が高まっている。
今年は日伊外交関係樹立160周年の節目に当たる。外務省によると、メローニ氏の訪日に合わせて両首脳による共同声明の発出を予定。政治経済や安全保障、文化・人的交流面での幅広い連携を確認する見通しだ。
外交政策を担う政府関係者は「2人には似た面がたくさんある」と語る。女性である点はもちろん、保守的な思想に根差していることや発信力、国内で高い人気を誇る点など共通項が多いとの指摘だ。「首脳同士の関係構築には、フィーリングが合うかどうかも非常に重要な要素だ」ともこの関係者は語る。
政府がイタリアとの関係強化を重視するのは、メローニ氏が対欧米関係で国際社会から一目置かれる存在になっているからだ。同関係者は国際会議の場でメローニ氏がトランプ米大統領にも遠慮せず、自国の立場を堂々と話す姿が印象的だと言う。「他国の首脳がトランプ氏に臆する中で、まったくそんな面はなかった。しかも言っていることが非常に的確だった」
高市、メローニ両氏が良好な関係を構築できれば、G7などの重要会議でも日伊の枠組みで他国との交渉に臨めるとの目算もある。前出の関係者は「国際会議の場で『味方』がいるのは大きい。日本の発言力強化を図る意味でも今回の首脳会談はとても重要だ」と語った。
<「近いようで遠い国」>
経済面でも一定の関係がある。財務省の貿易統計によると、日本からの対伊輸出額は通関ベースで2020年に約38億ドル、同輸入額は約105億ドルに上る。24年には輸出約51億ドルに対し、輸入約122億ドルにまで伸びた。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、イタリアには発想力豊かな企業が多く、他国企業と同種の製品を生産したとしても、特に工業機械や衣料品などはデザインや機能面の評価が高い。こうした魅力がイタリアからの輸入を後押すると同時に、日本企業による出資につながっているという。
ただ、こうしたイタリア企業の強みは、関係の更なる深化に向けた課題にもつながっている。日本企業が伝統的に武器としてきた特色と重なる部分が少なくないため、特に第三国ビジネスで補完関係になりにくい難しさがあるためだ。イタリアに拠点を置く日系企業数は24年に396と、ここ数年横ばい傾向が続いている。
ジェトロ担当者は「共通点が多いからこそ両国企業は互いに協業のきっかけを見いだせずにいる。ビジネス面では近いようで遠い国だ」と指摘した。
日本国内では、1月23日に召集される通常国会冒頭で高市氏が衆議院を解散し、総選挙に臨むとの見通しが強まっている。メローニ氏との首脳会談をどう政治、経済両面の実利につなげられるか。高市氏が「外交手腕」をアピールする機会としても注目を集める。外務省関係者は「貿易やビジネスが活性化するよう環境整備を目指す。中国を含む東アジア情勢などでも協力していきたい」と、見込まれる成果を強調した。
(鬼原民幸 編集:橋本浩)





