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中国、日本産水産物を事実上輸入停止か 高市首相発言への報復の見方広がる

2025年11月19日(水)21時35分

中国・北京の日本大使館(2025年11月18日撮影)。REUTERS/Maxim Shemetov

Tamiyuki Kihara

[東京 19日 ロイター] - 中国政府が日本の水産物について、現在実施されている輸入手続では不十分とする考えを農林水産省に伝えていたことがわかった。事実上の輸入停止措置につながる可能性があり、日本側には高市早苗首相の台湾問題をめぐる発言への報復だとの認識が広がっている。

日本側関係者によると、中国は19日までに現在日本の水産物を輸入する際に提出を求めている放射性物質のモニタリングデータの技術的要件についての疑義を農水省に伝達。日本側が新たに対応しない限り輸出ができない状況に陥る可能性があるという。これまで認められていた手続きを事実上厳格化するもので、日本政府関係者は「中国による想定外の措置だ」と困惑。別の関係者は「高市氏の発言に対する報復ではないか」と話した。

高市氏は今月7日の衆院予算委員会で、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」として想定されるケースについて台湾問題に言及し、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と答弁した。これに中国側は激しく反発。国民に対して訪日を控えるよう呼びかけるなど影響が広がっている。

木原稔官房長官は19日午後の記者会見で、中国政府が日本の水産物の輸入を停止すると日本政府に通達したとの報道について「中国政府から連絡を受けたという事実はない」と述べた。一方、「引き続き中国側に対して輸出の円滑化を働きかけ、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等を強く求めていく」とも語った。

中国は2023年8月の東京電力福島第1原発の処理水放出を受け、日本の水産物について輸入を停止した。両国は24年9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで実施しているモニタリングに中国が参加し、安全基準に合致した水産物の輸入を再開することで合意。今月に入り、福島県や宮城県など10都県の水産物を除いて、北海道産ホタテや青森県産ナマコの輸入が再開していた。

(鬼原民幸 編集:橋本浩)

ロイター
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