ニュース速報
ワールド

カナダ総選挙、「反トランプ」で与党勝利 カーニー首相続投へ

2025年04月29日(火)20時35分

 カナダ総選挙が28日実施され、CTVニュースとCBCによると、与党・自由党が政権維持を確実にした。写真はカーニー首相の支持者ら。オタワで撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)

David Ljunggren Ismail Shakil

[29日 ロイター] - 28日投開票されたカナダ下院(定数343)総選挙は、カーニー首相率いる与党・自由党が第一党となり政権維持を確実にした。関税などで圧力をかけたトランプ米大統領への反発が追い風となった。

選管の開票結果(暫定)によると、自由党の獲得議席数は168、最大野党の保守党は144。

不人気のトルドー前首相の辞任表明後、1月時点で保守党に20ポイントのリードを許していた自由党にとって、目覚ましい逆転劇となった。ただ単独過半数の172議席には届かなかった。

トルドー氏から首相を引き継いだカーニー氏は、カナダ併合論や関税を振りかざすトランプ氏に強硬姿勢で臨むと表明。カナダと英国の中央銀行総裁という経験から、米政権の関税政策などに対処するのに適任だと訴えた。

一方、保守党は生活費高騰や犯罪、住宅危機などを巡る懸念に焦点を当て、9年にわたる自由党政権の交代を目指し健闘したが一歩及ばず、ポワリエーブル党首はカーニー氏に祝意を示し、敗北を認めた。ポワリエーブル氏自身も落選が予想されている。

<今後数カ月が難局>

カーニー首相は勝利演説で「着実な統合進行に基づく米国との古い関係は終わった」と述べた。

「米国を基盤とする開かれた世界貿易システム、第2次世界大戦以来カナダが依拠してきたシステム、完璧ではないものの何十年にもわたって我が国の繁栄に貢献してきたシステムは終わった」とし、「これらは悲劇だが、新たな現実でもある」と述べた。

今後数カ月は困難な時期となり、犠牲も必要になるとの認識を示した。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長とスターマー英首相はカーニー氏に祝意を表明した。

フォンデアライエン氏は、欧州とカナダの絆は一段と強固になっているとし「欧州とカナダ、およびG7の枠内で緊密に協力していくことを楽しみにしている。われわれは共通の民主主義的価値観を守り、多国間主義を推進し、自由で公正な貿易を推進していく」と述べた。

スターマー首相は、カーニー氏の国際問題におけるリーダーシップと、「防衛、安全保障、貿易、投資」に関する緊密な協力の継続に期待していると述べた。

トランプ氏は28日も交流サイト(SNS)への投稿で、カナダは米国の51番目の州になるべきだと改めて主張した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

イタリア、今年はEU財政赤字ルールを6年ぶり順守へ

ビジネス

新発10年債利回りが1.670%に上昇、2008年

ワールド

ロシア凍結資産活用、ベルギーがEUに「リスク分担」

ワールド

台湾国防部長、双十節後の中国軍事演習に警戒
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中