ニュース速報
ワールド

ペルーのフジモリ元大統領死去、86歳 長らくがんで闘病

2024年09月12日(木)12時12分

 南米ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領(写真)が死去した。86歳だった。長女のケイコ氏が9月11日、Xへの投稿で明らかにした。2018年3月、カヤオ海軍基地で撮影(2024年 ロイター/Mariana Bazo)

[リマ 11日 ロイター] - 南米ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領が11日に死去した。86歳だった。長女のケイコ氏がXへの投稿で明らかにした。長らくがんで闘病していたという。

日系人として初めてペルー大統領を務めた。1990年の初当選時は知名度が低かったが、在任中にハイパーインフレを鎮静化し、国営企業の民営化を推進、関税を引き下げるなどして混乱した国内経済を立て直した。

一方、10年にわたる政権運営で汚職スキャンダルが続出し、世論を敵に回した。92年に軍用戦車を使って議会を閉鎖し、自由市場改革と厳しい対テロ法を推し進めるため憲法を改正したことから、国民の間では独裁者との批判も出た。

2000年に3選を果たした直後、側近である国家情報局顧問ブラディミロ・モンテシノスの汚職が発覚。滞在中の日本から辞表を提出した。

日本で事実上の亡命生活を送っていたが、政界復帰を目指して05年に帰国を決意。チリに向かったが、現地警察に逮捕され、07年にペルーに引き渡された。09年に起訴され、禁錮25年の有罪判決が言い渡された。

<「フジ・ショック」>

胃潰瘍、高血圧、舌がんを患っていたフジモリ氏は23年12月に釈放され、今年5月には悪性腫瘍と診断されたことを公表していた。

1938年7月28日のペルー独立記念日にリマで生まれた。数学者で農業技師だった同氏は90年の選挙で左派の支持を得て著名作家マリオ・バルガス・リョサ氏を破り、世界を驚かせた。

自らを白人エリートに代わる存在と訴え、ペルーの多くの先住民や混血の人々から支持された。

ハイパーインフレとの闘いでは過激な対策は取らないとしていたにもかかわらず、就任直後に突如として食料品への補助金を打ち切る措置などを実施。「フジ・ショック」として知られるようになった。短期的にインフレは悪化したが、この賭けは功を奏し、最終的には経済を安定させた。

リマにある日本大使公邸人質事件では1997年にトンネルを掘るという計画を考案。奇襲攻撃で犯行グループ14人全員を殺害した。

私生活では2度結婚。大統領在任中に最初の妻スサナ・ヒグチ氏と不仲になり、ケイコ氏をファーストレディーに指名した。元妻との間にはケイコ氏のほかにも3人の子どもがいる。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中