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焦点:中東緊迫で「現金が王様」に、株・債券・金下落しドル急伸

2026年03月04日(水)16時26分

ニューヨーク証券取引所のフロアで働くトレーダー。3月3日撮影。 REUTERS/Brendan McDermid

Suzanne McGee Dhara Ranasinghe Samuel Indyk

[ロ‌ンドン/ニューヨーク 3日 ロイター] - 3日の国際金融市場は現金が王様となっ‌た。中東紛争が激化したため金相場、債券相場、株式相場が同調して下落し、安全資​産とリスク資産の間に通常起こる逆の相関関係を覆して価格変動が大きくなった。

イスラエルがレバノンを攻撃し、イランが報復として湾岸諸国のエネルギーインフラや⁠ホルムズ海峡を航行するタンカーに攻撃した​ため、たった1日前は紛争が早期に終結すると想定していた市場心理は暗転した。ホルムズ海峡は世界のエネルギー需要の5分の1を賄う資源が通過する。

原油価格とドルは上昇した一方、主要な株式市場、米国債、その他の債券、安全資産とされる金までもが軒並み売られた。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(ボストン)のチーフ・ストラテジストであるマイケル・アローン氏は「起きているのは極めて不確実な事態に対⁠する典型的な反応だ」と述べた。

アローン氏によると、2日に4週間ぶりの高値を付けた金が4%下落したことは売りの無差別な性質を示しているという。「人々が現在保有したいと思っているのは原油とドルの二つだけだ」と語った。

北海ブレント原油はほぼ7%上昇し⁠た一方で、ド​ルが急伸しユーロ、ポンド、円に対して数カ月ぶりの高値を付けた。バンダ・リサーチのデータによると、個人投資家もまた石油株に大量の資金をつぎ込んだ。

債券と株式は連動して動いた。3日の米ウォール街の主要株価指数は2%以上下落し、S&P総合500種は2カ月超ぶりの安値に落ち込んだ一方で、米2年国債の利回りが1月下旬以来の高水準となる3.599%に達した。

市場アナリストはこのリスク回避行動を促した要因として、紛争に対する楽観的な見方、2月28日のイラン攻撃に至る数週間の極端なポジション形成、原油高がもたらすインフレ圧力が債券に与える打撃などを列挙した。

「歴史が示しているのは、世界情勢が緊迫化すれば価格変動の大き⁠さはどの資産でも横断的に相関性が高まり同じ方向に集約される傾向だ」と、36サウス・キャピタル・ア‌ドバイザーズのトレーディング責任者兼副ポートフォリオ・マネージャーのジョージ・アドコック氏は述べた。

アドコック氏によると、中東情⁠勢の展開⁠によって投資家がさまざまな結果を織り込んだため価格変動が急激に大きくなり、原油、金、ドルなどの資産を拡大していたポジションに圧力がかかったという。

「1月は否定的な見方の定着、極端なポジション形成、価格変動の抑制が見られた。これらの要因は現在、反射的に解消されており多くのポートフォリオにわたって重大な予想最大損失額(VAR)ショックと相関ショックをもたらしている」とアドコック氏は話した。

VARショックは通常、市場セクターの売りが他の市場セクタ‌ーに波及した時に生じ、リスクを分散し投資家のポートフォリオを守っていた逆相関関係を崩壊させてしまう。

<流動性​を保つ>

LSEGリッパー‌のデータによると、投資家が短期的に現金と⁠等しいとみなす金融商品に避難しようとしたため、世界の​マネー・マーケット・ファンド(MMF)に対する資金流入額が2月17日以来の高い水準となる479億ドルに達した。

対照的に、投資家は株式に対する投資比率を縮小し、米国株ファンドから96億ドルを引き揚げた一方で、世界株式ファンドは2日に2カ月ぶりに大きな金額規模となる91億ドルが流出した。

JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジストのデビッド・ケリー氏は「興味深い質への逃避が起きている。ドルは上昇しているが資金が米国債やその他のドル資産に向かっていない。そうした状況は短期的‌な現金需要が高まっていることを示唆している」と述べた。

ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(ニューヨーク)で金ストラテジー責任者のアカシュ・ドシ氏は、金の上場投資信託(ETF)に今年数十億ドルが流入したが、2日の​流出額は小規模でこれから拡大する可能性があると指摘した。

「金に関して⁠一部の利益確定売りと一部の流動性確保の動きが見られる。追い証発生に伴う支払いやストップロスで強制的に手じまいされた買いポジションを補うといった取引のために、流動性の高い代替的なヘッジ資産の金を売って現金を調達している」

「地政学的なショックが現実に起こり市場に極めて​大きな不確実性が生じた場合はすぐに、現金が依然として王様だという考え方が注目されるのだ」と述べた。

こうした不透明感がいつ後退するのか分からないが、JPモルガンのケリー氏はとりわけ紛争がもろい米国の財政状況や経済見通しを悪化させた際にドル高が長く続かないかもしれないと見ている。

ステート・ストリートのドシ氏は「戦争は衝撃と恐怖で始まるが最終的に泥沼化で終わり、ドルにとってマイナスに作用する傾向がある」と語った。

ロイター
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