米の同盟国支援縮小、ドルの地位を脅かす可能性=マン英中銀委員
写真はマン英中銀委員。2023年1月、英マンチェスターで撮影。REUTERS/Phil Noble
David Milliken
[ロンドン 3日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のマン政策委員は3日、米国が友好国や軍事同盟国への支援を縮小していることで、世界の準備通貨としてのドルの地位が損なわれる可能性があるという見方を示した。
マン氏はニューヨークでのイベントで、「特定の国を同盟国として頼れないなら、なぜその国の通貨を準備金として保有しているのか」と疑問を投げかけた。
米国人であるマン氏は2021年から英中銀の金融政策委員を務めており、それ以前はシティと経済協力開発機構(OECD)のチーフエコノミストだった。
マン氏は、外貨準備に占めるポンドの割合は1900年の80%から現在5%にまで縮小しているとし、米国は英国から教訓を得ることができるだろうと述べた。
国際通貨基金(IMF)のデータによると、昨年の世界の外貨準備に占めるドルの割合は58%で、2016年の65%から低下している。
ポンドの衰退は、第一次世界大戦の戦費が一因だった。この戦争で英国は債権国から債務国に転じ、さらに20世紀における米国経済の成長や、第二次世界大戦によるさらなる財政的打撃も影響した。
しかし、最近の学術研究では、純粋に経済的・財政的要因よりも、英国が帝国とグローバルな軍事的役割を放棄したことに伴う外交的要因がより重視されるようになっているとマン氏は指摘。
「軍事同盟、国家間の制度的関係や協定といったことが過去に考えられていたよりもずっと重要であると認識されている」とし、「米国がこうした同盟から撤退している今日の状況では、当然の結果が生じるだろう」と述べた。





