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午前のドルは157円半ば、10カ月ぶり高値 円安けん制で上昇一服

2025年11月20日(木)12時41分

2017年6月2日、米ドル紙幣と日本円紙幣。REUTERS/Thomas White

Atsuko Aoyama

[東京 20日 ロイター] - 午前のドルは157円半ばまで上昇し、10カ月ぶり高値を更新した。米国の利下げ観測が後退する一方で日銀の利上げ観測が強まらない中、日本の財政拡張に対する思惑も重なり、ドル買い/円売りが進んだ。円安進行に関する木原稔官房長官の発言で上値が抑えられる場面もあった。

前日海外時間に上昇したドルは、朝方はややもみ合いながら水準を切り下げ一時157円を割り込んだ。仲値公示にかけてはドル買いが強まり、上値を切り上げて157.48円まで買われ、1月15日以来10カ月ぶりの高値を更新した。

その後、木原官房長官が円安が進む為替市場の動向について「一方向な、また急激な動きもみられ、憂慮している」と述べたことで、上昇が一服。正午前後では157円前半で売買が交錯している。

ドル157円台まで急速に進む円安について、市場では「口先介入がどう出るかが重要になってくる。口先介入のトーン次第で、徐々に上値を切り上げていく段階」(野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト)との声が聞かれた。

午前中に行われた小枝淳子日銀審議委員による新潟県金融経済懇談会でのあいさつについて、タカ派的との受け止めも聞かれたが、ドル/円上昇の勢いを止める内容とはならなかった。

三菱UFJ信託銀行の酒井基成・資金為替部マーケット営業課課長は前日の植田和男日銀総裁と片山さつき財務相らとの会談について、口先介入は強まらず、155円台は実弾介入が迫る水準ではないことが明らかになり、「(ドル/円が上昇方向に)走りやすくなった」とみている。

酒井氏は目先「反転する材料がない」とし、12月に米国が利下げを、日銀が利上げをそれぞれ見送るとなればドル/円は「上を試しにいきやすい」と話す。160円試しの機運も出てくるとしている。

<9月末までは円買い越し>

米政府閉鎖の影響で9月23日時点を最後に公表が見送られていた米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告の公表が再開された。投機筋のポジション動向を映すとされるIMM通貨先物非商業部門の取り組み状況によると、9月30日時点での円買いポジションは16万7811枚、売りポジションは10万6346枚で、円は6万1465枚の買い越しだった。

ロイター
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