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インドCPI、10月は過去最低の+0.25%に縮小 12月に利下げも

2025年11月13日(木)08時41分

写真はムンバイのスーパーマーケット。9月4日、ムンバイで撮影。REUTERS/Francis Mascarenhas

Nikunj Ohri

[ニューデリー 12日 ロイター] - インド政府が発表した10月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は過去最低の0.25%に縮小した。食品価格の急落と物品・サービス税(GST、全国統一の間接税)の引き下げが主因で、インド準備銀行(中央銀行)が12月に利下げを決める道を開いた。

ロイター調査では0.48%上昇だった。エララ証券のガリマ・カプール氏は「2026会計年度のCPIが2%を下回ることで、25年12月に中銀が利下げをする道が開け、26年2月には25ベーシスポイント(bp)の追加利下げが見込まれる」と言及した。

中銀は12月3―5日に次回金融政策委員会を予定する。マルホトラ総裁は10月に「現在のマクロ経済状況と見通しは、経済成長をさらに支援するための政策余地を開いた」と指摘していた。

アジア3番目の経済大国であるインドはトランプ米大統領による輸入品への関税引き上げに直面するが、インフレ率の鈍化と金利低下、消費税減税が影響を相殺している。2025年4―6月期に前年同月比で7.8%増えた国内総生産(GDP)は、今年後半に鈍化すると予想されている。

10月のCPI上昇率は中銀の許容範囲である2―6%を下回り、これは2カ月連続。中銀はインフレ率が3四半期連続で許容範囲外にとどまらないようにする義務を負っている。政府はCPIと食品のインフレ率が縮小した理由について、消費税減税の効果が完全に出たことが主因だと説明した。

同時に発表された9月のCPI改定値も小幅に下方修正され、前年同月比上昇率は1.44%となった。

米国がインドからの輸入品に対して50%の懲罰的関税を適用し、貿易関連が不確実になった中でインドは内需を刺激するために乳製品や個人用ケア製品を含む数百の大量消費財を対象にGSTを大幅に引き下げた。

10月の食品価格は前年同月比5.02%下落と過去最大の下落率となり、下落率は9月改定値の2.33%からさらに低下した。野菜価格は9月に21.38%下落したのに続き、10月も27.57%下落した。

<金価格高騰がコアインフレ率を押し上げる>

2人のエコノミストによると、食品やエネルギーなどの変動の激しい項目を除いたコアインフレ率は10月に前年同月比4.4%だった。9月の4.5%に続いて高止まりし、10月に約5%上昇した国内金価格の急騰が一因となっている。

キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、シバーン・タンドン氏は「金価格の急騰継続は雑品・サービス分野に波及しており、GST引き下げの影響を相殺するどころか、それを上回っているようだ」と指摘した。

穀物価格の10月の上昇率は0.92%と、9月の2.1%から鈍化した。一方、豆類は9月の15.3%下落に続き、10月も16.2%下落した。

インド・レーティングス・アンド・リサーチのチーフエコノミスト、デベンドラ・パント氏は「経済が停滞と低成長に陥るのを防ぐため、中銀は12月に(主要政策金利の)レポ金利を25―50bp引き下げる可能性がある」とし、2025年に入ってから計100bp利下げしてきたのに続いて追加利下げをする余地は十分にあるとみている。

ロイター
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