ニュース速報
ビジネス

IMF、経済成長予測を大幅に下方修正へ 世界的な景気後退は予想せず

2025年04月18日(金)12時15分

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は17日、貿易摩擦や国際貿易体制の広範な変化を受けて、IMFの経済予測が大幅に下方修正されるとの見通しを示した。ただ、世界的な景気後退は予想しなかった。(2025年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 17日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は17日、貿易摩擦や国際貿易体制の広範な変化を受けて、IMFの経済予測が大幅に下方修正されるとの見通しを示した。ただ、世界的な景気後退は予想しなかった。

来週のIMF・世界銀行の春季会合を控えて、ワシントンのIMF本部で行う講演で述べた。

貿易政策を巡る不透明感が「桁違い」のレベルに達しており、金融市場のボラティリティーが極端に高まっていると指摘。

特に最近の米国債利回りの変動は、警告と受け止めるべきだとし「金融環境が悪化すれば誰もが悪影響を受ける」と述べた。

IMFは1月時点で今年と来年の世界経済成長率をともに3.3%と予測していた。22日に新たな「世界経済見通し」を公表する。    

「大国同士が対立する中で、中小国が翻弄されている」とし、中国、欧州連合(EU)、米国は世界の3大輸入国・地域であり、金融環境の引き締まりにさらされやすい中小国に大きな影響が波及すると指摘した。

「危機の時期を通じて学んだことの1つは、認識は現実と同じくらい重要だという点だ」とし「認識が悪い方向に変われば、経済のパフォーマンスにかなりの悪影響を与える恐れがある」と述べた。

<保護主義はイノベーションを阻害>    

関税の引き上げは、まず経済成長に打撃を与えると主張。大国では関税引き上げが新たな対内投資を促し、雇用創出につながる可能性もあるが、これには時間がかかるとの見方を示した。

「保護主義は長期的に生産性を損なう。特に中小国ではそうだ」とし、産業を競争から保護すれば、起業家精神やイノベーションも阻害されるとの認識を示した。

また、関税は消費者物価と生産者物価を押し上げる可能性がある一方で、人々が支出を控えることでインフレ率が低下する可能性もあるため、IMFはインフレ率が全体としてどちらの方向にも大きく振れることはないと予想していると発言。ただ、一部の国ではインフレ予測が上方修正されるとの見通しを示した。

各国に対し、機敏で信頼できる金融政策と強力な金融市場の規制・監督を維持しながら、経済・金融改革を継続するよう要請。

新興国については、為替の柔軟性を維持すべきであり、支援国は低所得国への援助をしっかり行うべきだと述べた。

「世界は分断ではなく、より強靭な経済へと進むべきだ」とし「深刻なショックが頻繁に起きる時代には、大小を問わず全ての国がグローバル経済を強化するため、それぞれの役割を果たすことができるし、果たす必要がある」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

10月FOMC、意見分裂鮮明に 12月緩和不支持も

ビジネス

エヌビディア、売上高見通しが予想上回る 株価2%高

ワールド

ゼレンスキー氏、トルコの和平仲介に期待 エルドアン

ワールド

EXCLUSIVE-米、ウクライナに領土割譲含む紛
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 7
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 8
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中