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税制改正、与党大綱を決定 デフレ脱却へ企業投資後押し

2017年12月14日(木)19時28分

 12月14日、自民、公明両党は、2018年度税制改正大綱を正式決定した。デフレ脱却の鍵を握る企業投資を税制面で後押しするほか、昨年の配偶者控除見直しに続く所得税改革「第2弾」として、給与所得控除や年金控除を縮小し、基礎控除に振り替える方針を示した。写真は都内で2010年8月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 14日 ロイター] - 自民、公明両党は14日、2018年度税制改正大綱を正式決定した。デフレ脱却の鍵を握る企業投資を税制面で後押しするほか、昨年の配偶者控除見直しに続く所得税改革「第2弾」として、給与所得控除や年金控除を縮小し、基礎控除に振り替える方針を示した。

大綱の柱は、1)個人所得課税の見直し、2)デフレ脱却・経済再生、3)経済社会の国際化への対応、4)たばこ税の見直し──の4点。

企業の設備投資と持続的な賃上げを促すため、前年度比3%以上の賃上げと減価償却費の90%以上の設備投資を行った大企業には、給与増加分の15%の税額控除を認め、一定程度の社員教育を実施すれば税額控除をさらに5%上積みできるようになる。

IoT(モノのインターネット)などに関連する革新技術に5000万円以上投資した場合は、減税幅をいっそう拡充する。18年度に29.74%まで下がる法人実効税率は据え置くが、これらすべての優遇措置を受ければ、企業の実質負担は20%程度まで下がる。

自民党の宮沢洋一税制調査会長は、大綱決定後の会見で「かなりの企業がこの制度を利用してくれるものと期待している」と述べた。

一方、対前年度の賃上げ率が0%以下で、かつ、設備投資額が減価償却費の10%に満たなかった場合は、研究開発税制などの租税特別措置の適用を行わないこととし、「ペナルティー的な要素」(斉藤鉄夫・公明党税調会長)も織り交ぜた。

所得税改革では、働き方が多様化する現状を踏まえ、個人所得課税のあり方を見直した。給与所得控除と年金控除をそれぞれ10万円減額する一方、基礎控除は現在の38万円から10万円増額。

その上で、会社員の給与所得控除を年収850万円で頭打ちとし、上限を195万円に引き下げた。ただし、子育て世帯や介護が必要な家族がいる世帯は増税の対象から外すため、会社員の96%は負担増減が生じない。

また、出国時に1000円を課す「国際観光旅客税」を19年1月から導入するほか、森林整備のための「森林環境税」も創設する。紙巻きたばこは21年までの4年間で1本当たり3円増税し、市場が拡大する加熱式たばこは5年間かけて増税する。

この結果、いわゆる平年度ベースでは、国税で1600億円、地方税で1200億円の増収となる。

*内容を追加します。

(梅川崇)

ロイター
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