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カナダからの呟き

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カナダが疑問に思う東京オリンピック・パラリンピック

何故、東京オリンピック・パラリンピックをキャンセルしないのか?

「非常事態宣言下で国民の60〜80%が反対しているのに、何故、キャンセルしないのか?」「何故、強行開催するのか?」「開催するなら何故明確な説明がないのか?」

誰もが安全なオリンピックに疑問を持っている中で、それを実行する価値があるのか?延期した去年よりパンデミックの状態はさらに悪い。それにもかかわらず開催姿勢を見せる。

非常事態宣言下でワクチン接種率が2%台という中、開催する意義と価値があるなら、それは何なのか?

例えIOCが決定権を持っていたとしても国民の殆どが反対している中で、日本政府がIOCに提言もしないというのは何故なのか?

去年の延期決定時よりもパンデミックとしてはより酷い状況となっている。延期は先があるが中止は後がないということなのだろうと推測するが、果たしてそれが医療逼迫の悪化を招いてでもすることなのであろうか?

IOCが頑なに開催を望むのは放映権による収入のためであることがいくつかの報道で指摘されている。

そうであるなら、日本政府が開催を望む理由は何なのか?

開催キャンセルによってIOCから賠償金を請求されるにしても、パンデミックという特別な理由がある訳だし、法外な違約金や賠償金を日本に請求することはオリンピック開催都市の立候補を妨げる行為となり兼ねない。なので交渉の余地はあったはずなのだ。なのにそれをしなかった。IOCと日本政府は強行開催の姿勢を見せているが、日本国民は反対しており、コロナの感染状況も思わしくなく、ワクチン接種率も低い。

特定の利権やお金目当てであるなら準備段階でそれなりにお金が回ったはずである。既にそれなりに政府が懇意にしている企業にはお金が流れているはずだ。開催キャンセルによって巨額の損失になろうともパンデミックを終息させて経済を回復させた方が損失は低いとの見方もある。よって開催の理由は不透明だ。

開催するなら開催するで、それこそ『明確で透明性のある説明』が必要なはずだが、IOCからも日本政府からも、それらはされていないままである。「オリンピック開催が医療逼迫の悪化を齎すのでは?」という問いにも明確に返答はされていない。開催を強固に表明しておきながら、開催への安全性を証明する科学的な数字やデータによる裏付けはない。

この後に及んでも、開催も安全性もいまだにuncertain(不確実)なのだ。

何故、ワクチン接種が日本は飛び抜けて遅いのか?

「オリンピック開催国なのに何故ワクチン準備を怠ったのか?」「準備が遅れた時に、何故、然るべき対策を立てなかったのか?」

日本はワクチン接種開始がG7の国では一番遅かった。それでも『ロジスティックには優れている日本だから、あっという間に接種を終えるのかも』という予測もあった。しかし、5月31日時点でワクチン接種完了者は2.7%、1回目の接種完了者は7.7%(データ: Our World in Data)である。

ワクチン供給、予約や接種実行で躓くのは他国でもあった。しかし他国では数週間程度で解消されてきた問題が日本では解消されていない。日本人であれば『トップダウン方式や自治体との連携問題などで初期に時間がかかるのであろう』と問題の原因と背景は何となく想像がつく。しかし、他国からすれば「1年延期されて準備期間があったのに?」「オリンピック開催国なのに?」と疑問でしかないようだ。

カナダでは既に殆どの州でワクチン接種対象者が12歳以上全員になっている。よって、州が定めた順番に従って1回目の接種を終えているオリンピック選手が多い。オリンピック選手がワクチンを打つことは『特権』ではなくなっているのだ。2月にカナダIOCが「オリンピック選手を優先してワクチンを打つ」案を掲げた時は大きな反発があり、その案は却下された。しかし数ヶ月でそれを特権と感じさせないワクチン接種率をカナダは達成した。

日本は医療従事者や高齢者のワクチン接種でさえ完了していない。こういった事情から日本が開催国としての努力を怠ったようにみえてしまう感は否めない。

データに基づく具体的なベンチマークや詳細がないのは何故なのか?

「何故、データや数字がないのか?」「ベンチマークによる可否判断がないのは何故なのか?」「詳細がないのは何故なのか?」

通常、他国ではベンチマークが設定され「感染者数がこの数字に達したら規制強化/緩和」「ワクチン接種率がこの数字になったら規制緩和」と前もってアナウンスされるのだが、日本は具体的な数字を出さない。

オリンピックは開催すると繰り返し言いつつも、日本ではベンチマークとなるワクチン接種率や新規感染者数などを出さない。オリンピックの開催条件もキャンセル条件もない。まさに強行開催であり、サイエンスやデータには基づいていないのだ。なし崩し的とも言えるし、行き当たりばったりとも言える。

日本国民がオリンピック開催に反対している理由は医療逼迫を含むパンデミックの悪化を懸念しているからである。オリンピック自体に反対なのではない。本当に安全なオリンピックが約束されるのであれば、現時点でワクチン接種率も新規感染者数もそれなりに説得力のあるものであるはずだ。しかし、そうではない。

IOCにとって、日本は扱いやすい従順な開催国といえる。しかしながら、国民の声を無視しオリンピックというスポーツイベントのためにパンデミック下で国民を危険に晒すという行動は賞賛されないし、むしろ疑問視されている。

そして矛盾が多すぎる。

不特定多数の接触を避け、限定されたバブルを心がけると言っておきながら、選手村においてアルコールの持ち込みは可能。選手の交流は認める。選手村の選手と一般国民の接触はほぼないと言っておきながら、都道府県にキャンプや合宿予定が入っているので交通機関を使って移動することになる。

加えてコンドームの配布など誤解を生む行為の頻発。パンデミックの中でコンドーム配布。「啓発の一環で持ち帰るためのものである」と主張したところで、わざわざ持ち帰る必要性は甚だ疑問である。選手間での濃厚接触を促す行為だと思われても仕方がない。ワクチンを接種していてもウイルスを他者に感染させてしまうことはあるそうなので、キスなどはしない方がいいそうだ。

今まで日本は『技術大国でコロナも程々にうまく抑えてきた国』というイメージがあった。なので余計に、新規感染者が増え、非常事態宣言下でワクチン接種も進まず、国民の60〜80%が開催反対を唱える中、強行開催するという行為の異様さが際立つ面もある。

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著者プロフィール
m

カナダに棲む女。食事においての最後の一品は自分が食べたい。寒がりなのにカナダに移住。英語が苦手なのにカナダに移住。フランス語が喋れないのにカナダに移住。

著書、『毒の滴』が販売中です。

ブログ:毒の滴(したたり)

Twitter: @poisondrop333

Instagram: drippingofpoison

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