最新記事
軍事

関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ海での中国の傍若無人な振る舞いが招いた変化

China's Neighbor Could Buy F-16s in Blow to Xi

2025年4月23日(水)17時00分
マイカ・マッカートニー
今までロシア製の戦闘機を使っていたベトナム、アメリカ製を導入して軍の近代化を急ぐ

今までロシア製の戦闘機を使っていたベトナム、アメリカ製を導入して軍の近代化を急ぐ Sanit Fuangnakhon-shutterstock

<ベトナムがかつての敵国からF-16を購入する大型契約が浮上。「対中包囲網」の構築が着々と進む?>

ベトナムがかつての敵国、アメリカから戦闘機のF-16(ファイティング・ファルコン)を購入するかもしれない。その背景には何があるのか。


アメリカの防衛関連分析ウェブサイト「19FortyFive」は4月18日、ベトナムは少なくとも24機のF-16を購入する見通しであることを報じた。同サイトは、アメリカの国防産業関係者数人とこの交渉に関する情報を持つ元米政府関係者を情報源として挙げている(証言者はいずれも匿名を条件としている)。

この契約が成立すれば、ベトナムはアジア太平洋地域で5番目にF-16戦闘機を導入する国・地域となる。

F-16はすでに約50年にわたり運用されており、現在中国や日本・韓国といったアメリカの同盟国が展開している第5世代戦闘機に比べれば性能は劣るものの、ブロック70/72と呼ばれる改良型のF-16は依然として有能でコストパフォーマンスが高い。安価な近代的空軍力を求める国々にとっては魅力的だ。

ベトナムとアメリカは、1975年まで長期にわたりベトナム戦争で戦った。それもあって現在、ベトナムの戦闘機は主にロシア製であり、安価な第4世代戦闘機のSu-27と、その改良型であるSu-30MK2Vが中心となっている。

もしこの取引が実現すれば、2016年にアメリカがベトナムへの殺傷兵器の禁輸を解除して以来、最大規模の防衛契約となる。

試写会
『おばあちゃんと僕の約束』トークイベント付き特別試写会 5組10名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏、政治献金削減へ テスラCEOあと5年継続

ワールド

中国、WHOに今後5年間で5億ドル追加拠出へ 米に

ワールド

トランプ氏「対応を検討中」、EU・英の対ロシア追加

ワールド

米国務長官、シリア制裁解除を擁護 「暫定政権に崩壊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 3
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国は?
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 6
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 9
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 10
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 5
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 9
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 10
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中