最新記事

異常気象

【映像】大波に砕けたフェリーの窓 叫び、逃げまどう乗客たち

2022年2月21日(月)12時10分
青葉やまと

フェリーの窓が大波で砕けた瞬間 The Telegraph-YouTube

<揺れる船内でカメラを構えていた通勤客が、浸水の衝撃的な瞬間を捉えた>

欧州を襲った嵐「ストーム・ダドリー」の影響で、ドイツの河川が大荒れに。波に耐えかねたフェリーのガラスが大破し、キャビンが浸水するショッキングな瞬間が映像に収められた。

動画は嵐で増水した河川をゆくフェリーで撮影されたものだが、まるで外洋かと見まごうほど激しい波に揉まれている。船内は前後左右に揺られるも、まばらに座る乗客たちは冷静だ。静かに船窓を眺めたり、スマホに熱中したりしている。

Huge wave crashes through passenger ferry windows in Germany as storms batter Europe


しかし、前方のガラスに特大の波が打ち付けると、荒れ狂う外界と乗客たちとを隔てていた大型ガラスが決壊。勢いに乗った流水はわずか2秒ほどでフロア全体を浸水させ、キャビンには「ギャーーッ!!」という乗客の鋭い悲鳴が響いた。動画後半では、最前部のガラスを計2枚を丸ごと失ったフェリーの様子を確認できる。

船首付近に座る別の乗客も、荒れる船内の様子を動画に収めていた。20秒程度のこの動画には冒頭、撮影者と思われる人物の笑い声が収められている。この時点では、尋常でなく揺れる船を楽しんでいた模様だ。

WEB EXTRA: Waves Slam Into Commuter Ferry, Break Windows


しかし、キャビン前方のガラス窓が数度波に洗われたあと、巨大なうねりに覆われた船内は一瞬、光の届かない世界に。直後、濁流の勢いと水圧に耐えかねたガラスは破壊され、どす黒いうねりが船内へ流入した。カメラは水没した模様で、動画はそこで途切れている。運行会社によると死傷者は出ていないとのことで、この撮影者は無事だった模様だ。

動揺し、避難スペースを求めた乗客たち

船は主に通勤に使われている比較的小型のもので、北部の港湾都市・ハンブルグからエルベ川を下り、数キロ先の工業地区・フィンケンヴェルダーにあるエアバス社の工場を目指していた。当時ドイツには大型の嵐「ストーム・イレーニア(欧州名:ストーム・ダドリー)」が接近し、エルベ川はその影響で増水していた。

乗客の利用できるスペースはほぼ1階に限られており、他の船室への避難は難しかった模様だ。船は2階建てだが、2階部分は狭く、関係者専用の操舵室になっていたとみられる。浸水は1階部分をくるぶし程度まで満たしただけであり、溺れるほどではないものの、一瞬で変わり果てた船内に乗客たちは恐怖したことだろう。

船内が浸水すると乗客らは動揺し、逃げ場を求めて船後方へ移動した。しかし、避難できるスペースはほかになく、その場で右往作用する様子が動画から見てとれる。こうした状況では、万一に備え救命胴衣を着用することが理想だ。ただ、さすがに動転していたとあって、座席下のライフジャケットに瞬時に思い当たった乗客はいなかった模様だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中