最新記事

人権問題

中国、女子テニス協会に「スポーツの政治問題化」を批判 IOCは彭帥選手とビデオ通話

2021年12月2日(木)20時32分
女子テニスのダブルス元世界ランク1位の彭帥選手

中国外務省の報道官は、女子テニスのツアーを統括するWTAが、ダブルス元世界ランク1位の彭帥(写真)の扱いや他の選手の安全性に対する懸念から、中国でのトーナメント開催の中止を決めたことについて、スポーツの政治問題化に反対すると述べた。マドリード・オープンで2018年5月撮影(2021年 ロイター/Susana Vera)

中国外務省の報道官は2日、女子テニスのツアーを統括するWTA(女子テニス協会)が、ダブルス元世界ランク1位の彭帥さん(中国)の扱いや他の選手の安全性に対する懸念から、中国でのトーナメント開催の中止を決めたことについて、「スポーツの政治問題化」に反対すると述べた。

国際オリンピック委員会(IOC)は同日、彭帥さんと2回目のビデオ通話を行ったことを明らかにした。

「われわれは多くの人や組織と同様に彭帥さんの安否を気に掛けている。そのためIOCのチームが昨日、再びビデオ通話を行った」との声明を発表した。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」の胡錫進編集長は、WTAの決定は彭帥さんを「抑圧」して「西側の中国攻撃を支援」するものだと非難した。

環球時報は社説で「(WTAが)女子テニスに政治を持ち込んでいる」「西洋の世論の道具になっている」と批判した。

「(WTAは)オリンピック精神の裏切り者」とし「欧米の一部勢力が北京冬季五輪に対するボイコットを扇動している」と断じた。

社説は同紙のツイッターのアカウントに掲載され、中国国内からはアクセスできない。

環球時報はまた、WTAは法的責任を負うべきとする中国テニス協会の声明を引用した。同協会はコメントの要請に応じていない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

FRB議長人事、大統領には良い選択肢が複数ある=米

ワールド

トランプ大統領、AI関連規則一本化へ 今週にも大統

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中