最新記事

原発事故

文在寅、福島第1原発の処理水海洋放出に「待った」 国際海洋法裁判所への提訴検討を指示

2021年4月14日(水)20時15分
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(写真)は、日本政府による福島原子力発電所処理水の海洋放出決定を巡り、当局に国際海洋法裁判所提訴に向けた方法を検討するよう指示した。写真は昨年10月韓国ソウルでの代表撮影(2021年/ロイター)

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本政府による福島原子力発電所処理水の海洋放出決定を巡り、当局に国際海洋法裁判所提訴に向けた方法を検討するよう指示した。青瓦台(大統領府)報道官が14日、明らかにした。

日本政府は13日、福島第1原子力発電所にたまり続ける多核種除去設備(ALPS)処理水を海洋放出すると発表した。

これに対し韓国政府は、相星孝一駐韓大使を呼び厳重に抗議するとともに、省庁間の緊急会議を開いて対応を協議した。

報道官によると、文大統領は地理的に近く日本と海を共有する国として、「今回の決定には大きな懸念があると言わざるを得ない」とし、日本政府に韓国の懸念を伝達するよう相星大使に要請した。

韓国外務省は声明で、同様な懸念を米政府にも表明したと明らかにした。日本の決定について、米国務省は13日、「透明性を保ち、世界的な原子力安全基準に沿った手法を採用した」との見解を示している。

同省は中国当局者とのオンライン会議で、処理水海洋放出計画について「強い遺憾と深刻な懸念」を共有したという。

中国外務省の趙立堅報道官は14日の定例会見で、日本の決定は汚染水の海洋への廃棄という前例を作ることになると指摘。

「海は日本のごみ箱ではない。太平洋は日本の下水管ではない」と述べた。

14日、ソウルの日本大使館、釜山や済州島の日本領事館の前では政治家、地方政府関係者、漁業関係者、環境活動家による抗議活動が行われた。

25の漁業団体は、日本政府に決定の取り消しを求める抗議書を大使館に提出し、韓国政府には日本の水産物の輸入禁止を求めた。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NTT、本社を日比谷に移転へ 2031年予定

ワールド

アングル:戦死・国外流出・出生数減、ウクライナ復興

ワールド

アングル:日銀、先行き利上げ判断で貸出動向に注目 

ワールド

米新安保戦略、北朝鮮非核化を明記せず 対話再開へ布
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中