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中東情勢

ネタニヤフとムハンマド会談、事実とすれば中東は変わる

Saudi Arabia Denies MBS Secretly Met Israeli Officials During Pompeo Visit

2020年11月24日(火)18時45分
デービッド・ブレナン

アラブ諸国は何十年にもわたり、イスラエルによるパレスチナ占領が解除されるまでは、イスラエル政府とは関わらないという姿勢をとってきた。しかし湾岸諸国の新世代リーダーたちは、アラブの同胞の問題であるとはいえ解決が難しいパレスチナ問題を遠ざけるようになっている。

そしてむしろ、敵国イランの動向を注意深く見守ると同時に、イスラエルやアメリカとの関係を深めることでもたらされる経済効果と防衛力強化に期待を寄せている。

サウジアラビアは、湾岸諸国の中でも難しい立場ある。同国は、イスラム教の二大聖地であるメッカとメディナを守る「二つの聖なるモスクの守護者」だ。パレスチナを公式に見捨て、パレスチナが主張する聖地エルサレムの領有権も回復しないままとなれば、イスラム諸国におけるサウジアラビアの名誉が大きく損なわれることになる。

「パレスチナは文句ばかり言う」?

にもかかわらず、ムハンマド皇太子はこれまでと比べ、パレスチナ問題にさほど力を入れていないと言われている。2018年に訪米した際には、アメリカのユダヤ教団体トップに対して、トランプ米大統領が提案した中東和平計画をパレスチナは受け入れるか、さもなければ「黙る」べきだと語ったと伝えられた。

米ニュースサイト「アクシオス」によると、ムハンマド皇太子は、「パレスチナ指導部は数十年にわたり、次々と機会を見逃し、提示されたあらゆる和平案を拒絶してきた」と述べた。「パレスチナはいい加減、提案を受け入れて交渉のテーブルに着くか、あるいは、口を閉ざして文句を言うのをやめるべきだ」

(翻訳:ガリレオ)

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