最新記事

中東

イラクのクルド自治区、独立問う投票9月実施 対政府交渉力強化へ

2017年6月8日(木)13時45分

6月8日、イラクのクルド人自治区は7日、独立の是非を問う住民投票を実施する方針を表明した。写真は自治政府のバルザニ議長。2016年9月撮影(2017年 ロイター/Khalid al Mousily)

イラクのクルド人自治区は7日、独立の是非を問う住民投票を実施する方針を表明した。自治政府のバルザニ議長がツイッターで「住民投票の実施日を9月25日に設定したと発表するのを喜ばしく思う」と述べた。

バルザニ氏の側近もツイッターに投稿し、住民投票はキルクーク、マクムール、シンジャル、カナキンの4カ所で行うと説明した。

ただ、イラク政府は住民投票実施に強く反対する公算が大きい。シーア派系の政治運動組織、イラク・イスラム最高評議会のアンマール・ハキーム議長は特に、クルド勢力が大規模油田を抱えるキルクークを編入することがないよう警告を発している。

これについてクルド自治政府高官の1人は4月、ロイターに対して投票で独立賛成が多数となれば、自治拡大に向けたイラク政府に対する交渉力が強まる効果があると指摘。必ずしも自動的に独立宣言につながるわけではないとの見方を示した。

アルビルのテレビによると、クルド自治政府当局者が今後バグダッドを訪れて住民投票の計画を話し合う見通し。またクルド人自治区の議会選挙が11月6日に予定されるという。

クルド人自治区の独立に関しては、自国内のクルド人の居住地域に波及しかねないと懸念するトルコやイラン、シリアといった近隣諸国も反対の立場を維持している。

[アルビル(イラク) 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送-米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否 ネト

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も

ビジネス

EU、炭素国境調整措置を強化へ 草案を正式発表

ワールド

インドネシア中銀、3会合連続金利据え置き ルピア支
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中