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トルコ大統領、EUの圧力に反発 中国主導の上海協力機構へ加盟示唆

2016年11月21日(月)10時50分

11月20日、トルコのエルドアン大統領は、 欧州連合(EU)加盟のために犠牲を払う必要はないと述べ、EUの代わりに中国、ロシア、中央アジア諸国で構成される協力機構「上海ファイブ」に加わる可能性を示唆した。写真は杭州市で9月撮影(2016年 ロイター/Damir Sagolj)

 トルコのエルドアン大統領は20日、 欧州連合(EU)加盟のために犠牲を払う必要はないと述べ、EUの代わりに中国、ロシア、中央アジア諸国で構成される協力機構「上海ファイブ」に加わる可能性を示唆した。

 現地紙ヒュリエトが、外遊先から帰国する航空機の機内での大統領の発言を伝えた。

 トルコのEU加盟交渉は11年におよぶ。EU加盟国の首脳はトルコ政府による民主的自由の抑圧を批判する一方、トルコはEU側の「干渉」に苛立ちを募らせている。

 大統領は同行した記者団に対し、「トルコは気兼ねすべきではない。是が非でもEUに加盟したいと要請すべきではないというのが私の見解だ」と語った。

 その上で、「上海ファイブにトルコが入ってはどうだろうか。(ロシアの)プーチン大統領と(カザフスタンの)ナザルバエフ大統領にこの件を聞いてみた」と発言。「前向きな動きがあり、トルコが上海ファイブに加わる場合、トルコははるかに大きな安心感を持って行動できるようになる」と語った。

 中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンからなる上海協力機構(SCO)は2001年に発足。ウズベキスタンが加盟する前の5カ国による協力機構「上海ファイブ」が前身。SCOは、イスラム過激派やアフガニスタンからの麻薬密輸などの脅威に対抗する安全保障体制の確立を目指している。

 トルコのSCO加盟に対しては、欧米の同盟国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国が警戒を強める可能性が高い。

[イスタンブール 20日 ロイター]


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