最新記事

トランプ・イヤーは2016年も続くのか

政治専門家のあらゆる予想を裏切ったトランプは侮れないが

2015年12月28日(月)13時25分
ジャック・マルティネス

怪走続く 支持率首位のまま年を越すとは誰も思わなかった Nancy Wiechec-REUTERS

 先週半ばに発表されたCNN/ORGの世論調査で、不動産王のドナルド・トランプが全米で39%の支持率を獲得、来年の米大統領選へ向けて共和党の指名獲得を争う他の候補者を圧倒した。2位のテッド・クルーズ上院議員でさえ、支持率はトランプの半分以下の18%だ。

政策面でも半数近い支持

 世論調査は、ラスベガスで行われた共和党の最後の討論会の直後に行われた。経済や移民、テロといった政策に対処する能力がいちばん高いのはどの候補か、という質問でも、そのすべてについて、回答者の50%近くが政治経験のないトランプの名前を挙げた。どの政策分野でも、2位の候補に30ポイント近く差をつけている。そして回答者の大半が、ラスベガスの討論会でいちばん説得力があった候補者はトランプだとしている。

 世論調査は様々あり、結果に多少の違いはあるものの、トランプが依然として首位を守っており、新年までこの勢いが続くはずはないと思っていた専門家たちの予想を見事に裏切った、という点では変わりはない。

 これらの数字にはどれ程の信ぴょう性があるのだろうか。2015年の男、トランプは、政治についてのあらゆる期待を覆した、というのがメディアの共通認識だ。論争や無神経な発言は、普通、選挙戦の足を引っ張るものだが、トランプの場合はどんな「失言」をしても世論調査の数字には影響しなかった。

 おそらくはトランプの一貫した高支持率のせいで、政治評論家たちは、こんな優位は重要ではないとその影響を否定してきた。実施、予備選の早い段階で投票が行われる諸州でのトランプの支持率は、全米の支持率よりはるかに低い。そして、予備選の結果を決めるのは全米の支持率ではない。

 2008年に予備選最初の州アイオワの共和党党員大会を制した元アーカンソー州知事マイク・ハッカビーは、アイオワの有権者はぎりぎりまで誰に投票するか決めない、と言っている。トランプがジェブ・ブッシュの支持率の低さを指摘したとき、フロリダ州元州知事ブッシュは「関係ない」と切り捨てた。

 それがブッシュの希望的観測なのかどうか、来年2月には判明することになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ

ワールド

米上院議員が戦争権限決議案、トランプ氏のイラン軍事

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中