最新記事

日本企業

東芝、経産省と一体で「物言う株主」に不当な影響 総会めぐる外部調査

2021年6月11日(金)07時41分
東芝本社

東芝は、昨年7月の株主総会に関する調査報告書を公表し、同株主総会では、経済産業省と一体となって筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントの株主提案権の行使を妨げようと画策したなどと指摘されたことを明らかにした。写真は都内で2017年2月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

昨年7月の東芝株主総会について、株主から選任されて調査していた外部の弁護士は10日、「総会は公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた。同社が経済産業省と一体となって、社外取締役の選任を提案していた筆頭株主などに不当な影響を与えたと認定した。

調査した弁護士3人は10日午後に報告書を公表。東芝や経産省の関係者が、株主対応について当時の菅義偉官房長官(現首相)のところへ説明に出向いていた可能性も指摘した。菅首相は同日夕、報告書の内容を否定した。

改正外為法の趣旨を逸脱

昨年の東芝の株主総会では、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが同ファンドの共同創業者などを社外取締役に提案したが否決された。一部の議決権が結果に反映されなかったり、経産省の関係者が複数の海外株主に事前に接触していたことが明らかになっていた。

報告書によると、東芝は同総会における「物言う株主」への対応について経産省に支援を要請。改正外国為替法に基づく権限を背景とした不当な影響を規制を期待して同省と緊密に連携し、エフィッシモに株主提案を取り下げさせようとした。報告書は「改正外為法の趣旨を逸脱する目的で不当に株主提案権の行使を制約しようとするもの」としている。

改正外為法は、安全保障に関わる日本企業への外資規制を目的に、昨年6月に全面適用された法律。報告書は、東芝と経産省の行為は、安保上の理由でエフィッシモの提案を問題視して行われたと認めることは困難と指摘した。「随所に法令等に抵触する疑いのある行為すら見受けられる」という。

調査した弁護士は10日夕に開いた会見で、経産官僚の動きは国家公務員法が定める守秘義務に抵触しかねないと指摘した。担当課長がエフィッシモから得た他の株主宛てのレターを、東芝へ「逆流しないように」と述べたうえで送付していたことなどを問題視している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-〔アングル〕長期金利27年ぶり高水準、10年

ワールド

イエメン分離派指導者が逃亡、リヤド行き便に搭乗せず

ビジネス

独バイエル、mRNA特許侵害でコロナワクチンメーカ

ワールド

トランプ米政権、ベネズエラ石油部門を迅速に活性化で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中