SPECIAL ADVERTISING SECTION

自分を創る音の風景

vol.5 音響設計家 豊田泰久さん

2014年07月25日(金)12時01分

豊田泰久さん

──ところで、豊田さんにとって<いい音>の定義とはどのようなものなんでしょうか。
「<いい音>というのはあくまでも主観的なものなので、万人に対して共通する定義はないと思うんです。料理やお酒と一緒で、塩加減や砂糖の文量の好みもあるだろうし、体調や気分によって好みも変わってくる。そういう感覚的なものはかように捕まえどころがないものだと思うんですよ。ただ、だからこそおもしろいとも言えるんじゃないかと思います」

──そのなかで万人に受け入れられる<いい音>を追求していくというのは、答えのない問いに向かい合い続けるようなものでもありますね。
「いや、そこはある意味で簡単なんですよ。万人に向けた音を作っていくということは、特定のターゲットを想定して作るわけじゃないということですね。ということは、自分の好みで作るしかないわけです」

──なるほど(笑)。
「個人のリスニングルームを作るほうが大変なんですよ。いくら僕が<いい音>だと思っても、その人の趣味に合わなかったら駄目。見た目だって重要だし、その基準も人によって違ってきますから」

──では、豊田さんにとって音響設計家を続ける原動力となっているのは何でしょうか。
「やっぱり音楽が好きだからじゃないですか。音楽に近いところで仕事をできているから頑張れる。胃潰瘍になりそうなこともありますけど(笑)」

──今後、時代の移り変わりと共に音響設計家の役割はどのように変わっていくと思われますか?
「音楽の楽しみ方も多様化してきているし、デジタル・メディアが氾濫している今の時代のコンサートはどうあるべきかということを考えないといけない。僕の父親が電蓄で音楽を聴いていた時代とは違うわけ(笑)。でも、そのなかでコンサートがなくなってほしくないし、なくなることはないと思う。誰もが楽しめるコンサートのあり方を世界中で探っているんですね。たとえば、マイマミのニュー・ワールド・シンフォニーは、オーケストラの演奏と壁面に写し出した映像とのコラボレーションを試みたりしています。これまでにない表現方法が出てくると思いますし、そのなかで音響設計の仕事も多様化していくんじゃないかと思いますね」

──最後に余談としてお聞きしたいんですが、プライヴェートではどのような環境で音楽を楽しんでいらっしゃるのでしょうか。
「仕事柄出張が多いので、家でゆっくり音楽を聴く時間がなかなかなくて。悲しいかな、一番時間を使えるのが飛行機の中なんですね。そうなると、いいヘッドフォンが必要になってくるんです。個人的にはインナー・タイプのほうが好みなんですけどね」



PROFILE
豊田泰久(とよたやすひさ)歌手

豊田泰久さんポートレイト1952年広島生まれ。72年九州芸術工科大学音響設計学科に入学し、77年株式会社永田音響設計に入社。現在はロサンゼルス事務所の代表を務める。代表的なプロジェクトは、86年「サントリーホール」、2003年「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」。現在まで50以上のプロジェクトを手掛けた。

Supported by PHILIPS Fidelio
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の定説に挑む、3人の日本人科学者と外科医
  • 4
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 9
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中