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スペインに増殖する「死の町」

Failed Urban Utopias

Photographs by Markel Redondo

スペインに増殖する「死の町」

Failed Urban Utopias

Photographs by Markel Redondo

国内随一の高い失業率に苦しむアンダルシア州マラガには建設途中の廃墟が多数並ぶ

 人の気配が消えた高級住宅街。時が止まったように放置された建築途中のサッカースタジアム。写真家のマルケル・レドンドが写し撮るスペインの町並みには、SF映画のワンシーンのような光景が広がっている。

 2000年代前半、スペインの銀行は好景気と規制緩和の波に乗って誰にでも金を貸し、熱狂的な建設ラッシュを巻き起こした。郊外のプール付きの邸宅は「スパニッシュドリーム」ともてはやされ、地中海沿岸では巨大リゾート施設の建設計画がいくつも進行。スペイン国内の06年の住宅着工件数は、フランスとイギリス、ドイツを合わせたより多い76万件に達した。

 だが08年の経済危機で住宅バブルがはじけると、すべてが一変する。ローンを払えない多くの人々が家を手放し、国内各地にゴーストタウンが出現。不動産価格の暴落で銀行は巨額の不良債権を抱え、救済の手を差し伸べざるを得ない政府の債務は膨れ上がる一方だ。

 バブル崩壊で数百万人の建築関係者の職も消えた。スペインの若年失業率は今年6月、ついに50%超えを記録。国中に増殖するバブルの残骸は、スペイン人の当たり前の日常を根こそぎ奪い去ってしまった。

Photographs by Markel Redondo-Panos

<2012年8月8日号掲載>

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