SPECIAL ADVERTISING SECTION

フランス人と行く!四国お遍路

日本唯一のNYタイムズ「行くべき場所」は、文化体験や人との交流が魅力

2015年12月25日(金)17時10分

 安楽寺の住職さんご自身、何周もお遍路をされているそうだ。Fさんは早速、お遍路の目的や魅力などについて根掘り葉掘り質問していた。

 住職さん曰く、お遍路は、極限まで自分の体を追い込むことで自然と自分の命とが共鳴し、世界と一体になる実感を得るために行うのだそうだ。その体験をすると、例えば阿波おどりひとつとっても、音楽に合わせて体が勝手に動き出し、決まった「振り付け」の踊りではなく「舞い」と呼べるようなひとつの自己表現になるという。

 また、阿波おどりは今で言うキャンプファイヤーのように、炎の周りをぐるぐると回りながら踊念仏していたものが起源という説明も興味深く、四国を回りながら参拝するお遍路とも近しいものがあるように私は感じた。

 Fさんによれば、日仏交流のイベントで紹介されるなど、フランスでも阿波おどりはよく知られ、また人気が出てきているのだという。

 徳島駅すぐの阿波おどり会館では、初心者も観光客もみんなで楽しく踊ろう、というイベントが開催されている。私たち一行が訪れた際、Fさんは「本当に阿波おどり初心者?」と驚かれるほどの腕前を披露し、徳島の人たちに賞賛されていた(笑)。

 さて、安楽寺に話を戻すが、Fさんが興奮したのはもちろん、日本人でも思わず「おっ」と惹かれる面白いものが見られた。それは写真(下)のような、グラフィカルな漢字である。

ohenro1-8m.jpg

本堂地下の壁に描かれた漢字。「相」という字の木へんが松で描かれ、目という字の中にツバメがいる

 このような字で書かれた文章が壁一面に描かれているのだ。遥か昔の人たちの、こんな遊び心に触れることができるのもお遍路の面白さのひとつではないだろうか。私たちのお遍路初日は、そんな驚きの連続に満ちて終わりを迎えた。

ohenromap1l.jpg


DAY 2

歩きお遍路24週目のご夫婦に出会う

[太龍寺~最御崎寺]

 2日目最初のお寺は、第二十一番札所の太龍寺(たいりゅうじ)。

ohenro1-9l.jpg

太龍寺の境内

 太龍寺は山の中腹にあり、早朝に朝靄の中をロープウェイでお寺まで登っていくだけでも幻想的な光景が見られる。ここまで来ると山寺が多く、車や電車を使わない「歩きお遍路さん」の尋常でない厳しさがよく分かる(もちろんロープウェイも使わない)。

ohenro1-10m.jpg

太龍寺では、自然の厳しさを可愛らしく表現しているものを発見。小さく枠の中に、遠く第二十番札所の鶴林寺(かくりんじ)が見える。これを見た瞬間、Fさんと2人で「今回の取材が歩きお遍路じゃなくて助かったね」と話したのは言うまでもない

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中