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アングル:アミニさんの急死から1年、イラン国内の変化は

2023年09月16日(土)08時08分

 9月11日、クルド系イラン人女性のマフサ・アミニさんが警察に拘束されたのちに急死してから、およそ1年が経過した。写真は追悼集会の場に置かれたアミニさんの写真。昨年9月、インド・ニューデリーで撮影(2023年 ロイター/Anushree Fadnavis)

Parisa Hafezi

[ドバイ 11日 ロイター] - クルド系イラン人女性のマフサ・アミニさんが警察に拘束されたのちに急死してから、およそ1年が経過した。当時22歳のアミニさんの死が発端となった抗議デモはイラン全土に広がり、1979年に起きたイスラム革命以来で最悪な政治的混乱の一つにまで発展。イランの支配層はこの1年間、抗議活動に対する圧力を強め続けている。

<抗議活動はどのように始まったか>

アミニさんが9月16日に亡くなった後、すぐに抗議活動は始まった。アミニさんは、イランで義務付けられているイスラム教の服装規定に違反した疑いでその3日前に風紀警察に逮捕されていた。

政治からは距離を置き、内気な性格だったというアミニさんは、テヘラン市内の駅に降りたところで拘束された。

アミニさんの訃報はソーシャルメディア上で拡散された。故郷の北西部クルディスタン州サッゲズで執り行われた葬儀で発生したデモは、イラン支配層の聖職者に対する怒りと異議から「女性、命、自由」の声と共に全国に広がっていった。

死因について家族は頭部や手足を殴打されたことが原因だと主張しているが、当局は既往症によるものだと否定。こうした対応がアミニさんの死に対する怒りをさらに強めた。

<デモの参加者は何を望んでいるか>

女性や若者が最前線に立って抗議活動を行うことも多く、デモ参加者は「独裁者に死を」と唱えながらイランの最高指導者ハメネイ師の写真を燃やすなどイスラム共和国の象徴を非難の対象にしている。

髪を覆い隠すことや、ゆったりとした服を着用することを義務付けている法律に反対の姿勢を示すため、女性たちはスカーフを頭から外して燃やした。こうした抗議には女子学生も参加した。

デモはとりわけ、北西部のクルド人が多く住む地域や、南東部のバルチ族の居住区など、国から長年差別的待遇を受けてきた少数民族が暮らす地域で勢いを増した。

また、イスラムの服装規定を守らない女性も増加。チェスやスポーツクライミングの選手が頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」を着用せずに試合に出場したことをきっかけに、有名人女性らもヒジャブ着用のルールを破り、抗議活動への支持を示した。当局はアスリートや俳優など複数の著名人に対し、渡航禁止や懲役刑を言い渡した。

<抗議デモの鎮圧>

抗議活動は年が明けてからも続き、治安部隊はメッセージアプリへのアクセスを制限したほか、催涙ガスやこん棒、場合によっては実弾を使用するなど、明確なリーダーを持たないデモ隊に対して強力な弾圧を行った。民兵組織「バシジ」が中心となり、反政府デモの取り締まりを率いた。

人権団体は71人の未成年者を含む500人以上が殺され、数百人が負傷、数千人が逮捕されたとしている。イランはこの騒乱を巡り、7人に死刑を執行した。

当局は公式な死者数の推計を発表していないが、数十人の治安部隊が「暴動」によって命を落としたと表明している。

<変化はあったか>

当初は抗議活動の鎮圧に手こずった支配層エリートだが、イラン革命防衛隊の後ろ盾を受けて権力を強化している。  アミニさんが拘束を受けて亡くなって以降、風紀警察の多くは路上から姿を消した。だが、風紀警察が取り締まりを再開し、ベール非着用の女性を特定して罰するために監視カメラが導入されると、デモの勢いは弱まった。

当局はベールが「イスラム共和国の信念の一つ」だとして、かぶっていない女性にはサービスを拒否するよう官民双方に命令。従わなかった数千の事業所が、一時的な閉鎖に追い込まれた。

ただ、多くの国民は髪を覆い隠さないイラン女性が増え続けていると指摘しており、議会は服装規定違反に対する懲役期間を延ばすことや、規則に背いた有名人や事業により厳しい罰則を設けることも検討している。

抗議活動を巡っては国外も反応。西側諸国はイランの治安部隊や数十名の当局者に対する新たな制裁を科し、既に複雑化しているイランと西側諸国の関係にさらなる緊張をもたらしている。

<イラン指導者はどのように地位を保持するのか>

アミニさんの一周忌を控えた最近の治安部隊の動きからは、イランの支配層が少しの反対意見も許さない姿勢であることがうかがえる。

活動家らは、デモ関係者の逮捕や尋問のための出頭要請、脅迫や解雇など、恐怖や不安をあおる措置が行われているとして当局を非難した。

ここ数週間でジャーナリストや弁護士、活動家、学生や大学関係者、著名人、死亡したデモ参加者の家族などが標的となっている。少数民族の当事者は特に多いという

社会不安についてイラン当局は、米国やイスラエルをはじめ敵対する諸外国によるものだと非難。逮捕される恐れがある人々にとっては、よりリスクの高い状況になっている。

イラン経済は制裁や失策の打撃を受けており、国民は不安を募らせる一方だ。こうした中での厳しい取り締まりは、支配層と国民の間に入った亀裂を深める危険性が高く、さらなる情勢不安を招きかねない。

ロイター
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