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ブラジル議会襲撃、米政権に新たな難題 ボルソナロ氏処遇が焦点

2023年01月09日(月)23時27分

ブラジルで8日起きたボルソナロ前大統領の支持者らによる議会など政府機関への襲撃が、米ワシントンに波紋を広げている。8日撮影(2023年 ロイター/Antonio Cascio)

[リオデジャネイロ 9日 ロイター] - ブラジルで8日起きたボルソナロ前大統領の支持者らによる議会など政府機関への襲撃が、米ワシントンに波紋を広げている。襲撃は、2年前のトランプ前大統領支持者の連邦議事堂襲撃という悪夢を想起させた。加えてボルソナロ氏は現在、フロリダ州に滞在している。ブラジル当局は襲撃事件の調査に乗り出しており、ボルソナロ氏の処遇を巡り、バイデン米大統領は新たな難題を抱えた。

昨年の大統領選挙でルラ氏に敗北したボルソナロ氏は、現在フロリダ州オーランドに「蟄居」している。

民主党のホアキン・カストロ議員は、ボルソナロ氏はブラジル国内でテロリズムをあおった独裁主義者だと批判し、ブラジルに送還すべきだと主張した。同様な声が民主党内で上がっており、バイデン氏に圧力を掛けている。

<送還リスク>

一方、「ブラジルのトランプ」とも評されるボルソナロ氏は、バイデン氏とは良好な関係とは言い難い。また大統領退任時に訴追免責の権利を失い、ブラジル本国では危うい立場にある。

中米パナマが米国にマルティネリ前大統領の引き渡しを求めた2016年から2018年にかけて駐パナマ米国大使を務めたジョン・フィーリー氏は、ボルソナロ氏にとって最も直接的な脅威は、彼のビザが取り消された場合だと指摘する。

「米国、あるいはいかなる主権国家も、たとえビザで合法的に入国しても、いかなる理由であれ外国人を排除できる。これは純粋に主権に係る決定であり、法的正当性は求められない」と述べた。

米国領事当局者は、ボルソナロ氏が国家元首に発給されるA─1ビザで入国したことはほぼ間違いないと述べた。

通常、A─1ビザは受給者が退任すると失効する。国家元首のビザ失効手続きをした経験を持つ元米上級外交官は、ボルソナロ氏がA─1ビザで入国したと想定した上で、同氏が大統領任期終了前に米国に入国しているため、A─1ビザがまだ有効なのではないかとみている。

元上級外交官によると、A─1ビザは米国滞在期間の期限を設けていない。

「われわれは未知の領域にいる。彼がいつまで滞在するつもりか、誰にもわからない」と語った。

米国務省の報道官は「ビザの記録は米国の法律により機密である。したがって、個々のビザの事案について具体的に話すことはできない」と述べた。

ロイター
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