ニュース速報

ワールド

中国6月PMI、製造業・非製造業とも4カ月ぶり50超え 封鎖解除で

2022年06月30日(木)13時28分

 中国国家統計局が6月30日発表した同月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と前月の49.6から上昇し、2月以来4カ月ぶりに景況改善・悪化の分岐点となる50を上回った。2019年9月、浙江省杭州市のスポーツ用品製造工場で撮影。国営英字紙チャイナ・デイリー提供(2022年 ロイター)

[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が30日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と前月の49.6から上昇し、2月以来4カ月ぶりに景況改善・悪化の分岐点となる50を上回った。上海市のロックダウン(都市封鎖)解除が背景。生産と新規受注が伸びた。

ロイターがまとめた市場予想の50.5は下回った。

シティ・インデクスのシニア市場アナリスト、マット・シンプソン氏は「ロックダウンの制限が緩和されて改善は予想されていた。また製造業がやや低調だった。とはいえ今回の結果は心強いものだった」と評価した。

景気回復の兆しを歓迎して中国の主要株価指数は1%以上上昇し、月間ベースで約2年ぶりの上昇率となる見込み。

生産指数は52.8と、2021年3月以来の高水準。新規受注指数も4カ月ぶりに50を超えたが、低調な伸びにとどまった。

統計局の高級統計師、朱虹氏は「製造業の回復は今月も続いたが、49.3%の企業は受注が不十分と回答した」と指摘。「軟調な市場需要が依然として製造業の主な問題だ」と述べた。

「一部の企業は利益率が圧迫され、比較的大きな困難を抱えている」との見方を示した。

在中国の米国商工会議所の調査によると、6月はサプライチェーンの問題がやや改善し、新型コロナウイルスによる混乱を報告した企業は減少した。しかし98%の企業が依然として新型コロナによる打撃を受けている。

ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhang Zhiwei氏は「移動制限がさらに緩和されるため、経済活動の急拡大は7月まで勢いを保つだろう」と述べた。「しかし中国はゼロコロナ政策を堅持しており、政策がさらに緩和される前に経済成長が潜在成長率を下回る可能性が高い」と予想した。

<サービス部門の力強い回復>

6月の非製造業PMIは54.7と前月の47.8から上昇し、13カ月ぶりの高水準となった。50を上回るのは4カ月ぶり。小売業や道路運送業など、新型コロナに関する制限で大きな打撃を受けた業種で需要が回復した。

建設業の活動を示す指数は52.2から56.6へ上昇した。

製造業と非製造業を合わせた総合PMIは54.1。5月は48.4だった。

ただ一部のアナリストは、この勢いが中長期的に持続するかどうか懐疑的だ。

キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏は「PMIの雇用指標は引き続き労働市場の弱さを示している。これは家計と消費者の信頼感が依然として脆弱であることを示唆している」と分析した。

「経済再開後の勢いがなくなれば一段の回復に足かせとなる。また20年と比べると、輸出需要と経済対策による景気への追い風は弱まる」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU・仏・独が米国非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中