ニュース速報

ワールド

中国寄りの情報工作活動、米レアアースなど鉱業が標的=報告書

2022年06月29日(水)14時20分

 6月28日、米国を拠点とするサイバーセキュティー会社マンディアントが公表した報告書は、中国のビジネス利権にとって障害となる鉱業関連企業を標的にした情報工作活動が展開されていると指摘した。写真はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで3月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

(デートラインを修正しました)

[サンフランシスコ 28日 ロイター] - 米国を拠点とするサイバーセキュティー会社マンディアントが28日公表した報告書は、中国のビジネス利権にとって障害となる鉱業関連企業を標的にした情報工作活動が展開されていると指摘した。こうした企業への反感をあおるため、ソーシャルメディアの偽アカウントが使われているという。

この種の活動は専門家の間では「ドラゴンブリッジ」として知られる。この数カ月でオーストラリアのライナス・レアアース、カナダのアッピア・レアアース・アンド・ウラニウム、USAレアアースの3社の事業について、環境面や健康面の懸念をかき立てる投稿がツイッターとフェイスブックに大量に出回った。

中国のコンピューター緊急対応チーム(CERT)とワシントンの中国大使館はコメント要請に返答していない。

ライナスとアッピアはロイターに、情報工作活動についてはマンディアントから知らされたと話した。アッピアのトム・ドライバス最高経営責任者(CEO)は「何が起きたのか調べようとしたが、何も分からなかった」と述べた。

USAレアアース、フェイスブック、ツイッターの各社は取材に応じていない。

報告書によると、偽アカウントは今月、アッピアとUSAレアアースの両社が新たな採掘計画を打ち出したことを受けて攻勢を強めた。

ライナスについては、同社がテキサス州で計画しているレアアース処理施設を巡り抗議活動を呼びかけた。実際には抗議活動は起きなかったが、偽アカウントは無関係のマレーシアでの古い抗議活動の写真を投稿し、呼びかけが成功したかのように装った。

米国の中国産鉱物への依存度を引き下げることを目指す法律の制定を呼びかけたバイデン米大統領を名指しで非難した投稿もあったという。

マンディアントのバイスプレジデント、ジョン・フルトクイスト氏は「こうした活動には潤沢な資金と十分な人員を確保した組織が必要になる」と指摘。

マンディアントは、活動を展開している組織や人物を特定するのに十分なデータは得られなかったという。

フルトクイスト氏は、活動による影響は限定的とみられ、大半の偽アカウントは最近削除されたが、中国と競合する企業が将来、同じような攻撃の標的となる可能性があると警告した。

*デートラインを修正しました。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、外貨減少とインフレ上昇に直面へ 米の「

ビジネス

マイクロン四半期利益見通しが予想超え、AI需要追い

ビジネス

お知らせ-重複記事を削除します

ビジネス

NZ経済、第3四半期は前期比+1.1% プラス成長
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中