ニュース速報

ワールド

中国がイラン産原油を国家備蓄に、12月下旬以降計400万バレル

2022年01月21日(金)14時45分

 1月21日、中国が過去数週間にわたり、約400万バレルのイラン産原油を南部の港湾都市である湛江市の国家備蓄タンクに荷下ろししていたことが分かった。写真は浙江省寧波市の石油ターミナルで2017年5月撮影(2022年 ロイター)

[シンガポール 21日 ロイター] - 中国が過去数週間にわたり、約400万バレルのイラン産原油を南部の港湾都市である湛江市の国家備蓄タンクに荷下ろししていたことが分かった。通商筋と船舶追跡を手掛けるボルテクサ・アナリティクスが20日、明らかにした。

中国はこれまで、イラン産原油を水面下で輸入しており、米国の制裁を恐れて公式通関データに反映されていなかった。しかし、中国税関は20日になって、制裁が続いているにもかかわらず、1年ぶりにイラン産原油の輸入を報告。税関総署のデータによると、昨年12月にイラン産原油を26万0312トン(190万バレル)輸入した。

通商筋によると、この貨物は12月下旬に湛江の国家備蓄用地に荷揚げされたという。

これに続き、ボルテクサによると、別の同規模の貨物が緊急備蓄用として同じ港に陸揚げされたという。

ドシ・コンサルティング(シンガポール)のマネジングディレクター、ティラク・ドシ氏は「イラン産原油の輸入については以前から報じられていたが、ある程度伏せられていた。中国は米国の反応を見るために公然とテストしているのだと思う」と語った。

イラン石油省からのコメントは得られていないが、同省高官は「米国の制裁のためどの国へかは公表していないが、中国はイランの石油を買い入れている国の一つだ。制裁が効かなくなってきたことを示している」と述べた。

米国務省の報道官は匿名を条件に、「われわれは中国企業がイランの石油を購入していることを把握している。中国とビジネスを行っている企業を含め、イランの制裁逃れに対応するために制裁権限を行使しており、今後も必要に応じて行使していく」と述べた。

一方で「われわれはイラン政策に関する対話の一環として中国と外交的にこの問題に取り組んでおり、総じて言えば、これがわれわれの懸念に対処するためのより効果的な方法であると考えている」と付け加えた。

中国国家食糧物資備蓄局からは今のところコメントを得られていない。

あるシニア石油トレーダーは「これは(中国の)原油価格を冷やすための試みだ。より多くの供給があることを世界に示そうとしている」と語った。

海運データやトレーダーの推計によると、中国の原油輸入のうちイラン産は約6%を占めている。

ロイターは先週、中国が春節(旧正月)前後に戦略的備蓄から一部の在庫を放出する見込みだと報じた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

エヌビディアが独禁法違反、中国当局が指摘 調査継続

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中