ニュース速報

ワールド

再送EU・イラン・ロシア、明るい見通し示す 核合意再建協議再開で

2021年11月30日(火)06時20分

イラン核合意再建に向けた協議が29日、約5カ月ぶりに再開した。5月撮影(2021年 ロイター/Lisi Niesner)

(見出しの誤字を修正して再送します)

[ウィーン 29日 ロイター] - イラン核合意再建に向けた協議が29日、約5カ月ぶりに再開した。イラン側が強硬姿勢を堅持する一方、西側諸国がそのような姿勢では協議が進展しないと警告する中、欧州連合(EU)、イラン、ロシアの各交渉担当者は交渉打開に向け明るい見通しを示した。

核合意再建協議は4─6月にかけて6回開催された。7回目となる今回は1400GMT(日本時間午後11時00分)過ぎに正式に始まった。

核合意再建協議を仲介しているEUのエンリケ・モラ主席調整官は協議後、記者団に対し「きょう見たものについて非常に前向きに感じている」と指摘。新たなイラン代表団は全ての制裁を解除するという要求を堅持しているが、過去6回の協議内容を全面的に否定したわけではないとした。

ロシアのウリヤノフ在ウィーン国際機関常駐代表はツイッターで「極めて首尾よく開始された」と表明。核合意再建協議でイラン交渉団のトップを務めるアリ・バゲリ・カーニ氏は記者会見で楽観的かと問われ「その通りだ」と答えた。

ただ、このような楽観的な見方が正当化されるかどうかは不明だ。

欧州のある外交官はイラン側は時折、強硬姿勢を強めたとし、引き続き悲観的に見ていると指摘。西側諸国の外交官らはイランの交渉チームが提示している要求は非現実的だとした。

イランの関係者はロイターに対し「われわれの要求は明確であり、特に米国が核合意を再建させたいかどうかを決めるべきだ。米国が核合意から離脱したのだから、米国が核合意に戻り、全ての制裁を解除する必要がある」と語った。

イランのアミラブドラヒアン外相は協議再開直後の声明で、「米国は検証可能かつ効果的に全ての制裁を解除しなければ核合意再建に向けた道筋が閉ざされるという事実をいまだに正しく理解していない」と指摘。「米国が核合意に戻ったとしても、過去の苦い経験の再発を防ぐための保証がなければ意味がない」とした。

バゲリ・カーニ氏も、米国および西側諸国は将来的に新たな制裁を課さないという保証を提供すべきとし、「まずは違法かつ不当な米制裁を解消し、その次に他の問題を議論して決定するというイラン側の要求について、協議に参加した全ての当事国が受け入れた」と述べた。

バゲリ・カーニ氏のこの発言について、西側諸国からのコメントは現時点で得られていない。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ

ワールド

バイデン・トランプ氏、6月27日にTV討論会で対決
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中