ニュース速報

ワールド

アジア太平洋の再生エネ投資、30年までに1.3兆ドルに倍増へ=調査

2021年06月22日(火)17時52分

コンサルティング会社ウッドマッケンジーによると、アジア太平洋の再生可能エネルギー発電への投資は2010年代から倍増し、2030年までに1兆3000億ドルに達する可能性がある。写真は河北省張家口で2016年3月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

[シンガポール 22日 ロイター] - コンサルティング会社ウッドマッケンジーによると、アジア太平洋の再生可能エネルギー発電への投資は2010年代から倍増し、2030年までに1兆3000億ドルに達する可能性がある。

化石燃料発電への投資は約25%減少し、年540億ドル前後になる見通しという。

同社のリサーチディレクター、アレックス・ウィットワース氏は「アジア太平洋の発電投資は世界をリードしており、2020年代に2兆4000億ドルに達する見通しだ。その半分以上を再生可能エネルギーが占める」と述べた。

アジア太平洋地域では、中国、日本、インド、韓国、台湾などが太陽光・風力発電といった再生エネ投資に大きく貢献しており、年間平均で約140ギガワットの発電容量が追加されているという。

22日付のリポートで明らかにした。

一方、域内でエネルギー移行をリードしてきたオーストラリアの再生エネ投資は、今後5年間で60%減少する見通し。ただ、その後は再び回復し、2030年代には年平均70億ドルになると予想されている。

同社のシニアアナリスト、Le Xu氏は「(オーストラリアは)老朽化した石炭火力発電所を閉鎖しており、他のアジア諸国より少なくとも10年早く、信頼性とコスト面の課題に直面している」と述べた。

ウィットワース氏によると、2030年まではアジア太平洋地域の化石燃料投資の55%を石炭が占める見通し。石炭の比率は2030年代には30%に低下し、ガスが主流になると見込まれている。

アジア太平洋域内の発電セクターの炭素排出量は、2025年までに73億トンでピークに達する可能性が高い。これは1人当たり1.8トン相当で、大半の先進国の半分以下の水準という。

域内の発電セクターの炭素排出量は2025年のピークから47%減少する見通しだが、ウィットワース氏によると「アジア太平洋地域は、石炭発電施設の惰性により、2050年までに炭素ゼロ発電を実現できない見通し」という。

同氏は、二酸化炭素回収・貯留(CCS)といった新技術や、水素、アンモニア、バイオマスといったグリーン燃料を石炭・ガス発電で活用することが、発電セクターの排出量削減のカギを握ると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IBM、コンフルエントを110億ドルで買収 AI需

ワールド

EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中