ニュース速報

ワールド

豪経済はなお回復段階、刺激策必要=ロウ中銀総裁

2021年06月17日(木)11時35分

[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は17日、国内経済は依然新型コロナウイルス禍からの回復段階にあり、景気が完全に回復するまでしばらくの間は刺激策が必要との認識を示した。

総裁は講演で、景気は想定よりも速いペースで上向いているが、賃金と物価の伸びは驚くほど抑えられていると指摘。「なお回復段階にあるという事実を忘れないことが重要だ」とし、賃金の伸びとインフレの「上振れは起きていない」と述べた。

インフレ率が中銀の目標レンジである2─3%で持続的に推移するためには、賃金の伸びが最近の水準より大幅に高くなる必要があるとも指摘。

企業がコスト抑制に注力し、賃金以外の方法で従業員の維持・確保を図ったり、代わりに生産を制限したりする中、それにはしばらく時間がかかる可能性があるとの見方を示した。

また、こうした制約は構造的であり、労働市場の逼迫がしばらく続くまでは克服できないだろうと述べた。

その上で、インフレ率が2─3%に戻るまで現行0.1%のキャッシュレート(政策金利)を引き上げない意向を中銀が示し、2024年までそうした状況になる公算は小さいと予想しているのはこのためだと説明した。

総裁は、7月の理事会で3年債利回りのターゲットを24年4月償還債から24年11月償還債に変更するか検討する見込みだとした。

主要な問題は、キャッシュレートが3年の間に上昇する確率であり、中銀はさまざまなシナリオを検討してきたと述べた。

「24年中にキャッシュレート上昇の条件が満たされるシナリオもあれば、そうでないシナリオもある」とし、次回の会合でこれらのシナリオを改めて検討する考えを示した。

7月の理事会では、1000億豪ドルの債券買い入れプログラムに変更を加えるかどうかも議論する。

総裁は、現在の景気回復を中銀がどのように支援するのが最善かという点が重要な検討事項だと指摘。最近の回復が、低失業率や賃金上昇の加速を伴う「強く耐久性のある経済成長に移行するのを理事会としては確認したい」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「米国の和平案推し進める用意」、 欧

ビジネス

米CB消費者信頼感、11月は88.7に低下 雇用や

ワールド

ウクライナ首都に無人機・ミサイル攻撃、7人死亡 エ

ビジネス

米ベスト・バイ、通期予想を上方修正 年末商戦堅調で
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中