ニュース速報

ワールド

ワクチン確保競争激化 EUが輸出監視強化、英は契約履行要請

2021年01月29日(金)01時43分

欧州で新型コロナウイルスワクチン確保に向けた競争が激化している。英製薬アストラゼネカのワクチン供給遅延を受け、欧州連合はワクチン輸出の監視強化に踏み切るほか、英国は同社に供給契約を履行するよう求めている。英ブラックプールで25日代表撮影(2021年 ロイター)

[ロンドン/ブリュッセル/ジュネーブ/ベルリン/パリ 28日 ロイター] - 欧州で新型コロナウイルスワクチン確保に向けた競争が激化している。英製薬アストラゼネカの新型コロナワクチン供給遅延を受け、欧州連合(EU)はワクチン輸出の監視強化に踏み切るほか、英国は同社に供給契約を履行するよう求めている。

EUはアストラゼネカの供給遅延を批判した上で、英国向けのワクチン供給をEUに振り向ける可能性を打診。さらに、欧州委員会は29日、域内からの新型コロナワクチン輸出を巡る通知・認可制度の詳細を明らかにする。

EU高官は、ワクチン輸出監視強化が輸出禁止措置ではないとしつつも、ワクチンメーカーが約束を守らなければ、輸出禁止に動く可能性もあるとけん制。「ワクチン出荷を巡る状況は透明性に欠き、EU全体に懸念を招いている。われわれには解決策を探る義務がある」と述べた。

EUのワクチン輸出監視強化は数日中に導入され、第1・四半期末まで施行される見通し。延長される可能性もある。

同措置の実施によって、英国やカナダ向けのワクチン供給に影響が出る恐れがある。米ファイザーはベルギーでワクチンを製造する。

また、欧州連合(EU)のミシェル大統領は28日、新型コロナワクチンの確保について、供給遅延を巡る問題が製造会社との協議で解消できない場合、EUとして法的措置を検討する必要があるとの考えを示した。

英国のゴーブ内閣府担当相は「英国が調達したワクチンが全て供給されることを確実にする必要がある」と強調。アストラゼネカ製ワクチンの英国からEUへの輸出を阻止するかとの質問に対しては、英国が計画通りに供給を受けることが不可欠と応じた。

アストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)はEU向けの供給遅延について、契約締結が英国よりも3カ月遅かったため、生産上の問題に対処する十分な時間がなかったと説明した。

独紙フランクフルター・アルゲマイネによると、EUとの確執が深まる中、アストラゼネカはEUと締結したワクチン供給契約を公表する用意を進めており、29日に公表を避けるべき項目に関する提案を欧州委に行う見通し。

同紙はEU筋の情報として、アストラゼネカによる第1・四半期のワクチン供給量は予定されていた8000万回分に届かないものの、これまでに報じられている3100万回分は上回る見通しと伝えた。

アストラゼネカのほか、ファイザー製ワクチンの供給も遅れていることから欧州のワクチン接種計画には狂いが生じ、ドイツやフランス、スペインでは接種の中止や延期に追い込まれている。

仏保健当局者らによると、同国の人口の約3分の1を占めるパリと近郊2地域で2月2日から予定されていた接種が延期される。

ドイツのシュパーン保健相は国内のワクチン不足が4月まで続く恐れがあるとし、州首相とワクチン接種計画を巡る会議を召集した。関係筋によると、会議は週明け2月1日に開催される可能性がある。

世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は「ワクチン不足が生じていることは現実だ」としつつも、製薬会社が不足解消に向け専念しているとし、各国に忍耐を促した。

同氏によると、これまでに欧州35カ国で計2500万回分のワクチン接種が行われた。

英国では710万人が1回目の接種を終えている。

人口当たりのワクチン接種回数ではイスラエルが世界でトップ。次いでアラブ首長国連邦(UAE)、英国、バーレーン、米国が上位を占め、イタリア、ドイツ、フランス、中国、ロシアが続く。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港、種類株発行企業の上場規制緩和を提案 IPOに

ビジネス

中国の2月新規融資、予想以上に前月から急減 需要低

ワールド

アングル:拡大する地政学リスク助言産業、イラン戦争

ビジネス

ホンダ、慶大・大阪大とAI技術開発で連携 講座と研
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 5
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 6
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 7
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中