ニュース速報

ワールド

伊上院もコンテ内閣を信任、解散総選挙は回避するも支持縮小

2021年01月20日(水)11時08分

イタリア議会上院は19日、コンテ内閣の信任投票を行い、暫定集計によると、賛成153、反対140で可決した(2021年 ロイター/YARA NARDI)

[ローマ 19日 ロイター] - イタリア議会上院は19日、コンテ内閣の信任投票を行い、賛成156、反対140の僅差だったものの、賛成多数で信任した。

前日には下院で賛成321、反対259の圧倒的多数で信任されており、解散総選挙は回避された。

ただ定数321の上院で絶対多数に必要なのは161議席で、信任票はこれに届かなかった。新型コロナウイルス危機で国家が非常事態にある中、少数与党政権の政策運営は容易ではなさそうだ。

コンテ首相は僅差での信任だった場合に辞職するとの憶測もあったが、今後は議会での支持拡大を模索すると表明。新型コロナ流行による公衆衛生面と経済面の2つの危機への対応に専念すると約束した。

先週には、コロナ危機への対応を巡りコンテ首相と対立したレンツィ元首相が連立政権からの離脱を表明。レンツィ氏が党首を務める少数政党「イタリア・ビバ」出身の閣僚らが辞任し、政局は混乱に陥った。

同党は19日の信任投票を棄権しており、政策で折り合えれば、再び連立政権に加わる可能性は残っている。だが、コンテ首相と主要な連立パートナーである左派の「五つ星運動」と民主党は「イタリア・ビバ」との和解に消極的だ。

コンテ首相は、連立に参加していない中道派とリベラル派の議員らから支持を取り付けるため、すでに政策の見直しと内閣改造を約束し、イタリアの近代化、景気回復計画の早期実現を望む考えを示していた。

上院の信任投票では、野党から信任賛成に回ったのは中道右派政党フォルツァ・イタリアの2議員だけで、多くの野党議員は信任に反対した。

イタリアでは少数与党政権は最近珍しくないが、こうした政権の運営は議会に大きく左右されてきた。

グイド・カルリ社会科学国際自由大学の政治学院長ジョバンニ・オルシーナ氏は、マッタレッラ大統領の任期終了前に半年間の選挙禁止期間があり、その期間に入る今夏に連立政権が崩壊すると予想する。

アナリストによると、多くの議員は再選されないことを恐れて解散総選挙を避けたいと望んでいる。だがオルシーナ氏は、一部の議員は今回の信任投票でコンテ首相続投を支持したが、選挙禁止期間に入って総選挙の可能性がなくなれば、コンテ首相を退陣させ、新政権樹立を図るとの見方を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中