ニュース速報

ワールド

ブラジル中銀、政策金利を据え置き フォワードガイダンス維持

2020年10月29日(木)09時19分

[ブラジリア 28日 ロイター] - ブラジル中央銀行は28日、政策金利を過去最低の2.00%に据え置いた。据え置きは市場の予想通り。借り入れコストを長期にわたり低水準に維持する「フォワードガイダンス」を維持する一方、最近のインフレ率上昇を注視しているとも表明した。

金利据え置きの決定は全会一致だった。ロイター調査ではエコノミスト31人全員が据え置きを予想していた。

金融政策委員会(COPOM)は声明で、食品・石油価格や根強いレアル安によって短期的に物価上昇圧力が強まっていると指摘。ただ、こうした状況は「一時的」との見方を示した。

追加利下げの可能性は排除しなかったものの、緩和余地は小さいとした。また、フォワードガイダンスが正当化される状況は続いており、2022年までの期間においてインフレ期待は目標を「著しく」下回っていると指摘した。

COPOMは異なる金利と為替レートに基づく2つのシナリオを用いた予測で、インフレ率が今年3.1%に達し、22年には3.8%に上昇するとの見通しを示した。

9月時点での予測では、今年のインフレ率は約2.1%、22年は3.3%になるとの見通しを示していた。

エコノミストの間では、財政健全化を巡る不透明感の増大が長期のインフレ予想に悪影響を及ぼすとの見方が多く、よりタカ派的な声明が予想されていた。

クレディ・スイス(ブラジル)のチーフエコノミストは「予想よりもハト派的だった。中銀はインフレ・ショックのリスクを低く見せようとしている。財政リスクも(予想ほど)強調しなかった。追加利下げの選択肢を残したと言える」と指摘。

その上で「市場は(追加利下げを)予想していない」とし、イールドカーブがスティープ化する公算が大きいとの見方を示した。

COPOMは、ブラジル経済の回復が「まだら模様」で、経済成長を巡る不透明感が依然として高いと分析。特に緊急支援策は年末に失効する予定だと指摘した。

COPOMは「財政の体制は変更されておらず、長期のインフレ予想は引き続きしっかりアンカーされている」と表明した。

中銀のインフレ目標は、2020年が4.0%、21年が2.75%、22年が3.5%。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1万件減の21.4万件 継

ワールド

EU・仏・独が米を非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ビジネス

中国人民銀、為替の安定と緩和的金融政策の維持を強調

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 6
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 7
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中