ニュース速報

ワールド

航空機内のコロナ感染確率、2700万人に1人は不適切な推計=専門家

2020年10月20日(火)13時44分

 10月19日、米アラバマ大学の伝染病の専門家、デービッド・フリードマン氏は、航空機内で新型コロナウイルスに感染する可能性は極めて低いとする国際航空運送協会(IATA)の調査結果について「不適切な計算」に基づいているとの見解を明らかにした。写真はカイロの国際空港で6月撮影(2020年 ロイター/Mohamed Abd El Ghany)

[パリ 19日 ロイター] - 米アラバマ大学の伝染病の専門家、デービッド・フリードマン氏は、航空機内で新型コロナウイルスに感染する可能性は極めて低いとする国際航空運送協会(IATA)の調査結果について「不適切な計算」に基づいているとの見解を明らかにした。

IATAは8日、メディア向けにプレゼンテーションを実施。IATAのメディカルアドバイザー、デービッド・パウエル氏は発表文で「(今年の)航空機利用者は12億人で、機内での新型コロナ感染が疑われるのは44人だ。これは2700万人に1人の割合だ」と指摘した。

しかしフリードマン氏は、報告された感染例は未確認の実際の感染者の数と直接関係がないとして、IATAの推計には問題があるとの認識を示した。

フリードマン氏はロイターに「不適切な計算だ。2020年の航空機利用者12億人というのは分母として公平ではない。ほとんどがテストを受けていないからだ。実際に何人が感染したかどうやって知ることができるのか」と指摘。「証拠がないのは(感染者が)いないことの証拠にはならない」と述べた。

IATAの広報担当者はコメントの要請に応え、IATAの調査は意味があり、感染リスクが低いことを示していると主張。「われわれはこの数字が絶対的で最も信頼のおけるものだとは言っていない」と述べた。

米エモリー大学のヘンリー・ウー准教授は機内での感染リスクについて、感染症を引き起こすウイルスの最低量は分かっておらず、露出が長いほど危険は増すと説明した。

中央の席は空けておくのが好ましいとした上で「10時間のフライトは1時間のフライトの10倍のリスクがある」と述べた。しかし航空機内は公共の場としてはおそらく安全な方だとし「混雑したバーに数時間いるほうがはるかにリスクが高い」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

アップル、新たなサイバー脅威を警告 84カ国のユー

ワールド

イスラエル内閣、26年度予算案承認 国防費は紛争前

ワールド

EU、Xに1.4億ドル制裁金 デジタル法違反
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 7
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中