ニュース速報

ワールド

米最高裁リベラル派ギンズバーグ判事死去、大統領選控え後任が焦点

2020年09月20日(日)12時16分

 9月18日、米最高裁判所のリベラル派女性判事、ルース・ギンズバーグ氏(写真)が、すい臓がんによる合併症のため死去した。トランプ大統領は来週後任を指名すると表明。米国社会の分断が進む中、後任人事次第で最高裁判事の構成はさらに保守化する可能性がある。写真は2019年9月、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Sarah Silbiger)

[ファイエットビル(米ノースカロライナ州)/ワシントン 19日 ロイター] - 米最高裁判所のリベラル派女性判事、ルース・ギンズバーグ氏が18日、すい臓がんによる合併症のため死去した。トランプ大統領は来週後任を指名すると表明。米国社会の分断が進む中、後任人事次第で最高裁判事の構成はさらに保守化する可能性がある。

ギンズバーグ氏はワシントンの自宅で、親族に見守られて死去した。87歳だった。最高裁が明らかにした。

1993年から最高裁判事を務めた同氏は女性の権利拡大を推進し、リベラル派の象徴的な存在だった。現在の最高裁判事の中で最高齢で、判事を務めた期間はトーマス判事に次いで長い。また、米最高裁史上で2人目の女性判事だった。

最高裁判事は終身制で、ギンズバーグ氏が死去する前の構成は保守派5人に対しリベラル派が4人だった。

トランプ大統領は声明で「米国は法の巨人の死を悼んでいる」と哀悼の意を示し、ギンズバーグ氏の決定が「すべての米国人、そして偉大な法律家たちを鼓舞した」とたたえた。一方、19日には遊説先のノースカロライナ州ファイエットビルで、ギンズバーグ氏の後任として女性を指名すると表明。「来週に指名を発表する。女性になる」と述べた。

トランプ氏はこれより先、最高裁判事候補として2人の女性判事を称賛。シカゴに本部を置く第7巡回区控訴裁のエイミー・コニー・バレット氏と、アトランタに本部を置く第11巡回区控訴裁のバーバラ・ラゴア氏で、両氏ともにトランプ氏が連邦控訴裁判事に昇格させた保守派の判事となる。

11月3日の大統領選で再選を目指す共和党のトランプ氏は、2017年と18年に2人の保守派の最高裁判事を任命している。最高裁判事の就任には上院の承認が必要となる。上院は共和党が過半数議席を占めている。

共和党のマコネル上院院内総務は、トランプ氏が指名する候補の承認を巡り速やかに採決を行う意向を示した。

一方、民主党の大統領候補バイデン前副大統領は、大統領選前にトランプ氏が後任を指名し上院が採決すべきでないと表明。大統領選で勝利した人物が後任を選ぶべきだと述べた。

公共ラジオ(NPR)の18日の報道によると、ギンズバーグ氏は亡くなる前に孫娘に対し、自身の最も強い願いは、新たな大統領が就任するまで自身の後任が置かれないことだ、と伝えたという。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BMW、第2四半期販売は小幅増 中国不振を欧州がカ

ワールド

ロシアに関する重要声明、14日に発表とトランプ米大

ワールド

ルビオ長官、11日にマレーシアで中国外相と会談へ 

ワールド

UAE、産油能力を一段と拡大する可能性も=エネルギ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中