ニュース速報

ワールド

米コロナ追加対策、溝埋まらず 期限迫り政権側は独自行動も視野

2020年08月06日(木)13時58分

米政権と民主党指導部は5日も新型コロナウイルス追加経済対策法案を巡る協議を継続した。だが週末の合意期限が迫る中で双方とも主張を先鋭化させており、合意する兆しは見られない。写真はムニューシン財務長官(左)とメドウズ大統領首席補佐官。7月撮影(2020年 ロイター/Erin Scott)

[ワシントン 5日 ロイター] - 米政権と民主党指導部は5日も新型コロナウイルス追加経済対策法案を巡る協議を継続した。だが週末の合意期限が迫る中で双方とも主張を先鋭化させており、合意する兆しは見られない。

民主党のペロシ下院議長は約2時間に及ぶ協議の後、記者団に民主党は法案について合意することを決意しているが、国民のニーズが満たされていることが条件だと強調した。

一方メドウズ大統領首席補佐官はCNNに対し、合意できなければ家賃滞納による住居立ち退きや失業給付金などの差し迫った問題について、トランプ大統領は行動を起こす用意があると主張。「もし議会が実行できなければ大統領が行う」と述べた。

ペロシ氏、メドウズ氏、ムニューシン財務長官、シューマー民主党上院院内総務は1週間以上、協議を重ねているが、経済対策の規模についてなお数兆ドルの開きがある。

上院共和党には7日が交渉期限と伝えられており、共和党のブラント上院議員も、「7日までに合意を見なければ、合意はない」と述べた。

ただムニューシン氏は記者団に週末が期限というつもりはないとし「私が言いたいのは、7日までに主要な問題に対処できるかどうか目標を設定したということだ」と説明した。

ペロシ氏も合意のタイミングには柔軟な立場を示唆し「トンネルの向こうに光があると楽観的になっている。ただトンネルがどれぐらいの長さなのは分からない」と語った。

失業者に対する週600ドルの特別給付措置は既に7月末に失効している。

<大きな問題で合意できるか>

トランプ氏は、合意がまとまらなければ、給与税の徴収停止など、単独で景気刺激策を打ち出す可能性を引き続き検討しているとし、FOXニュースとのインタビューで「私には単独で給与税の徴収を停止する権限がある」と強調した。

ムニューシン氏は記者団に交渉の参加者はいくつかの大きな問題で歩み寄りを目指すと述べ、複数のトピックについて双方が合意したか合意に近づいていると説明した。

「われわれがこれらの大きな問題で譲歩できれば、他の問題も全てうまくいくと思いう。だがもしこうした問題について合意できなければ全体の合意には至らないだろう。その場合は大統領による措置を検討しなければならない」と語った。

民主党は3兆4000億ドル規模の追加経済対策を求めているが、ムニューシン氏はトランプ政権がその規模に「近い案」を受け入れることはないとの認識を示している。ただ、家賃未払いによる立ち退き猶予を年末まで延長する方針は提案している。

共和党のマコネル上院院内総務は「来週も協議は続けられる。その後は状況次第だ」との認識を示した。マコネル氏は協議に参加していない。

米郵政公社(USPS)に関する懸念も課題となっている。11月の大統領選で郵送投票の利用拡大が予想される中、USPSがコスト削減のために配達を遅らせる可能性が報じられており、下院の監視・政府改革委員会は9月17日に米郵政公社(USPS)のデジョイ新総裁を迎え、USPSの業務見直しに関する公聴会を開く計画。

シューマー氏は「選挙時に郵便が遅れなく配達され、国民の必要に応じることができるよう、USPSを巡る問題を解消する必要がある」と語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、牛肉輸入にセーフガード設定 国内産業保護狙い

ワールド

米欧ウクライナ、戦争終結に向けた対応協議 ゼレンス

ワールド

プーチン氏、ウクライナでの「勝利信じる」 新年演説

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.6万件減の19.9万件
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中