ニュース速報

ワールド

EU首脳、新型コロナ対策で結論先送り ESM活用や共同債発行

2020年03月27日(金)09時53分

 3月26日、EU首脳らは、新型コロナウイルス感染拡大による経済的打撃に対応するため、域内の救済基金の与信枠を活用する案について、2週間以内に詳細を提示するよう各国財務相に要請した。ブリュッセルで先月撮影(2020年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 26日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済対策についてテレビ会議で協議した。ユーロ共同債発行やユーロ圏救済基金活用の案について、財政規律を重視する北部勢と財政が困窮する南欧勢との意見の隔たりが埋まらず、結論は持ち越しとなった。

イタリア、スペイン、フランスは景気支援に向けた共同債発行を主張したが、ドイツとオランダがこれに反対した。

6時間に及んだ会議ではまた、ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)を活用し、各国に国内総生産(GDP)2%分の与信枠申請を可能にする案が議論されたが、合意はまとまらず、首脳らは2週間以内に詳細を提示するよう各国財務相に要請した。

ドイツのメルケル首相は会議後「一部の加盟国はコロナ債を提案したが、ドイツは、これは全加盟国の考えではないとの意見を述べた。私にとってはESMが好ましい手段だ」と語った。

ドイツに意見が近いオランダのルッテ首相はESMは「最終手段」で細部を詰める必要があると指摘し、共同債には反対すると述べた。

ESMが提示したユーロ圏加盟国向けの与信枠の条件は、活用可能な期間が最長2年で、平均の返済期限は5━10年。

欧州で新型コロナ感染者が最も多いイタリアは、実質的に無制限の支援策を呼び掛けた。首相府は声明で「革新的な金融手法で対応する必要がある」と強調した。

EUはこれまでのところ新型コロナ対応の経済対策や医療機器の共有化、生活必需品の確保で結束を示せずにいる。

ミシェルEU大統領はこれまで、第2次世界大戦後の米国による欧州の経済援助である「マーシャルプラン」のような復興計画を呼び掛けているが、27加盟国の意見は分かれたままだ。

スペインのサンチェス首相は「2008年金融危機の過ちを繰り返してはならない。この過ちが市民の不満や欧州統合深化を巡る対立を招き、ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭につながった」と訴えた。

EU首脳は一方、戦略的に重要な医療およびインフラ関連の企業を域外企業による敵対的買収から守ることで合意。医療資源の不足や緊急の入国制限に関しては議論が白熱した。

奇しくもこの日は、域内の自由な移動を認める「シェンゲン協定」が25周年を迎えたが、各国が国境封鎖や国境での検査強化を決めているため、モノの移動が滞っている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:世界市場荒れ模様、トランプ氏演説でイラン

ビジネス

米新規失業保険申請、9000件減の20.2万件 一

ビジネス

FRBのバランスシート、縮小へ複数の道筋ある=米ダ

ワールド

イランの革命防衛隊、バーレーンの米アマゾン施設攻撃
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 7
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 8
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 9
    自国の国旗損壊を罪に問うことの深刻さを考える
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中