ニュース速報

ワールド

豪中銀、今月2回目の利下げ 初の量的緩和にも踏み切る

2020年03月19日(木)16時48分

 3月19日、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は、今月2回目となる利下げに加え、初の量的緩和(QE)措置を発表した。写真はシドニーで2016年5月撮影(2020年 ロイター/Jason Reed)

[シドニー 19日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は19日、今月2回目となる利下げに加え、初の量的緩和(QE)措置を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃を緩和するため、各国中銀との協調行動に踏み切った。

中銀はオフィシャルキャッシュレートを0.50%から25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の0.25%とした。そのうえで、雇用とインフレに関する中銀の目標を達成するまで金融引き締めを行わないと表明した。

中銀はまた、3年物国債利回りの目標を0.25%付近に設定。20日に流通市場で国債買い入れを開始すると発表した。

中銀は声明で「雇用や所得、企業の支援がRBAの最優先事項だ。この危機が去った後には、オーストラリアは力強い回復に向けかなり良い状態になる」とした。

さらに、中小企業支援に向け、銀行システムへの資金供給ファシリティーを導入。期間は3年、金利は固定で0.25%とする。金融機関は既存融資残高の3%まで同制度を利用することが可能となる。

「金融機関は、特に中小企業向け融資残高を拡大すれば拡大するほど、追加でこの制度が利用できる」(中銀)という。ファシリティーの規模は少なくとも900億豪ドル。

中銀は「今回の措置は相互に作用し合い、経済全般にわたって資金調達コストの引き下げと信用供与の支援に寄与する見通しだ」とした。

中銀の発表を受け、3年物国債利回りは0.589%から0.34%に急低下。ただ、それでも中銀の目標水準は上回っている。

中銀のロウ総裁は演説で「われわれは明らかに、異常で厳しい時代を生きている」と述べ、事態が「あまりにも流動的なため」中銀は最新の経済予想を示すことができないとした。

また「かなりの雇用が失われると予想している。雇用喪失の規模は、この困難な時期に企業が雇用を維持する能力に左右される」と語った。

一方、中銀の発表は豪ドルの支援材料にはほとんどなっていない。豪ドルは一時、2002年終盤以来の安値となる0.5510米ドルまで下落していた。

アナリストらは、今回の中銀の措置の効果に確信を持てずにいる。

フィデリティ・インターナショナルのアナリストは「新型ウイルス危機の規模や期間にもよるが、豪経済が現状から持ち直すのがいつかを予想するのは時期尚早だ」と指摘した。ただ、豪を含め各国の政府・中銀はかつてないほどの刺激策を導入しているため、経済の早期回復に向けた追い風は確実に吹いている、とした。

また別の声明文によると、豪政府は、今後12カ月にわたって150億豪ドル相当の住宅担保ローン証券(RMBS)などを購入する計画。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、米の半導体貿易政策を調査 「差別的扱い」 通

ワールド

アングル:米移民の「聖域」でなくなった教会、拘束恐

ワールド

トランプ氏、NATOにロシア産原油購入停止要求 対

ワールド

中国が首脳会談要請、貿易・麻薬巡る隔たりで米は未回
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中