ニュース速報

ワールド

韓国中銀、金利据え置き 新型ウイルス対応の利下げ見送り

2020年02月27日(木)17時24分

2月27日、韓国銀行(中央銀行)は政策金利を1.25%に据え置いた。送付の韓国銀行前で2016年7月撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 27日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は27日、政策金利を1.25%に据え置いた。新型コロナウイルスの国内経済への影響に対処するために利下げが見込まれていたが、見送った。

中銀は今年の経済成長率予想を2.3%から2.1%に引き下げた。

李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は、新型ウイルスの感染拡大が長期化するリスクがあることを認めながらも、金融政策の限界を強調。政府に歳出拡大と的を絞った対策の導入を求めた。

中銀が予想外の据え置きを決めた背景には、金融緩和の余地が限られることや、金融の安定と不動産バブルに対する懸念があるとみられる。

総裁は「現時点では(政策)金利の調節よりも、サービス部門など影響を受けやすい産業を対象に選別的なミクロ政策を導入するほうが効果を期待できる」と述べた。

据え置きは賛成5・反対2で決定した。

ロイター調査で今回の据え置きを予想していたのはアナリスト26人中10人のみだった。

26人中16人は、予防措置として政策金利が25ベーシスポイント(bp)引き下げられ、1.00%になると予想していた。4人は少なくとも5月までには利下げが行われると見込んでいた。

総裁会見を受けて、アナリストの間では年内の利下げのハードルは高いのではないかとの見方が出ている。

予想外の金利据え置きを受けて、ウォンは一時急伸したが、その後は伸び悩んでいる。韓国政府がこの日発表した新型ウイルスの感染者は1日の増加数としては過去最多を記録した。

3年債利回りは上昇。追加利下げ観測が後退している。

IBKインシュアランスのファンドマネジャーは「総裁は新型ウイルスの感染拡大が長期化した場合にのみ、利下げを前向きに検討するだろう。利下げしたからといって人々が消費を始めるわけではない」と述べた。

中銀は、新型ウイルスで打撃を受けている小売り・観光産業を支援するため、特別融資プログラムの上限を5兆ウォン(41億ドル)引き上げ30兆ウォンとした。

韓国では、2017年5月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任以降、マンション価格の中央値が50%近く急騰しており、金融を緩和すれば不動産バブルが悪化するとの懸念が強まっている。

ウォン安と資本流出に対する懸念も利下げを見送る原因になる可能性がある。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中