ニュース速報

ワールド

新型肺炎の感染者600人に迫る、中国当局は武漢を実質封鎖

2020年01月23日(木)20時07分

 1月23日 中国当局によると、22日時点で新型コロナウイルスによる肺炎の発症者は571人に達し、死者は17人になった。。写真は武漢の病院で20日撮影(2020年 ロイター)

[北京 23日 ロイター] - 中国当局によると、22日時点で新型コロナウイルスによる肺炎の発症者は571人に達し、死者は17人になった。国営テレビが23日伝えた。中国交通運輸省は、新型肺炎の封じ込みに向け、発生した湖北省武漢市の実質的な封鎖に乗り出した。

交通運輸省は23日、武漢と行き来するシャトルバスやフェリーの運行を全面的に停止した。

同省はウェブサイトに掲載した声明で、すでに武漢に向かっているバスやフェリーには、出発地に引き返すよう指示。また、武漢を経由するバスには直ちに経路を修正するよう命じ、乗客が武漢で降りるのを禁止した。

これに先立ち、武漢市は、感染拡大を封じ込めるため、現地時間23日午前10時(日本時間23日午前11時)から公共交通機関の運行を一時停止すると発表。

さらに、武漢に隣接する皇崗も23日、現地時間24日午前0時(日本時間午前1時)から公共交通機関の運行を中止すると発表した。皇崗当局は、映画館など屋内娯楽施設に休業を命じ、住民には特別な理由がない限り皇崗から出ないよう呼びかけた。

バス、列車、地下鉄、フェリーのほか、長距離輸送の交通機関の運行をすべて停止する。同市を出発する航空便も運航停止とした。ただ航空機の追跡データによると、現地時間午前10時以降も一部の航空便は同市から離陸している。

武漢市の複数の住民はロイターに対し、人々が買いだめを急いでいると指摘。大手スーパーは混雑しており、肉・野菜・即席めんなど多くの食品が売り切れているという。

中国以外では、タイで4人、米国、台湾、韓国、日本でそれぞれ1人の感染が確認されている。

一方、世界保健機関(WHO)は22日、新型肺炎について緊急委員会を開催したが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当するかどうかの結論は出ず、23日に判断を持ち越した。

WHOのテドロス事務局長は、緊急委員会の会合後「真剣に決定する」とした上で、十分な情報と検討を踏まえ、適切に判断したいと述べた。

また、中国のこれまでの対応は「非常にしっかりとしている」と評価したうえで、国外への感染拡大を最小限に抑えるため一段の措置を取るよう求めた。

中国当局は依然、新型ウィルスの病原体について調査しているが、野生生物が違法に売られている湖北省武漢市の市場が発生源で、急速に感染が拡大したことが確認されている。

中国では多くの人がマスクを着用し、映画館やショッピングセンターなど人が集まる場所に行くことを避けている。また、旅行を中止する人も多くいる。

香港で鉄道を運営する香港鉄路(MTR)<0066.HK>は23日、中国武漢市との間の一部列車の切符販売を一時停止すると発表した。

台湾のチャイナエアライン<2610.TW>は武漢便の欠航を明らかにした。また、中国国内の多くの企業は、政府主導の対策に積極的に協力すると表明している。

各国の国際空港は中国からの渡航者に対する検疫体制を強化している。欧州疾病予防管理センターは感染が中国国外に広がる可能性は高いと指摘している。

ただ、新型コロナウイルスは、これまで大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ほどの脅威はないと指摘する専門家もいる。MERSでは2012年以降感染による死者が700人以上となっている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中