ニュース速報

ワールド

北朝鮮、衛星発射場で再び実験 米に対抗し「新兵器開発」を強化

2019年12月15日(日)13時46分

14日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は国防科学院の発表として、北朝鮮が13日に東倉里の西海衛星発射場で新たな実験に成功したと伝えた。実験の詳細については明らかにしていない。写真は北朝鮮の国旗。9月撮影。(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji )

[ソウル 14日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は14日、国防科学院の発表として、北朝鮮が13日に東倉里の西海衛星発射場で新たな実験に成功したと伝えた。実験の詳細については明らかにしていない。

西海衛星発射場で実験が行われるのは先週7日に続いて2度目となる。

KCNAが14日伝えたところでは、朝鮮人民軍の朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長は、一連の防衛技術実験は新兵器開発による北朝鮮の国防力強化を目指したものだと発言。「最近の国防科学研究実験で得られた貴重なデータ、経験と新技術は、北朝鮮が米国による核の脅威に断固抵抗し、圧倒するための新たな戦略兵器の開発にすべて生かされるだろう」と述べた。

KCNAは先週8日、北朝鮮が7日に西海衛星発射場で「非常に重要な」実験に成功したと報道。これに対し、トランプ米大統領は、敵対的な行為を再開すれば金正恩朝鮮労働党委員長は「すべて」を失う恐れがあると警告し、非核化の必要性を強調した。[nL4N28I02E]

韓国国防相は、7日の実験はエンジンの試験だったとの見方を示した。米当局者は以前、北朝鮮が西海衛星発射場の閉鎖を約束したと明らかにしている。

北朝鮮は非核化を巡る対米交渉の期限を年末に設定し、米国が一方的な非核化要求を撤回しなければ、「新たな道」を選ぶ可能性があると警告している。

朝鮮人民軍の朴総参謀長は、北朝鮮は「対話と対立の双方に慣れている」とした上で、敵対勢力による政治的および軍事的なあらゆる挑発に対応する用意があると表明。米国など他の国々に対し、平和に年末に過ごしたいならば北朝鮮を挑発すべきでないと警告し、「わが軍は最高指導者の決定を行動に移す用意ができている」と語った。

米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は、15日にソウルで韓国当局者と北朝鮮情勢について協議を行う予定だ。

エスパー米国防長官は13日の外交関連のイベントで、米国は北朝鮮を交渉のテーブルに連れ戻せるか「まもなく試されることになる」と語った。長官は「北朝鮮は依然として訓練や短距離弾道ミサイル実験を行い、われわれは懸念している」と述べた上で、「韓国と日本と同様、米国も状況を注視している。外交や政治的合意のみが前進できる道で、国務省は北朝鮮を交渉の席に戻そうと努めている」と語った。

専門家は、一連の実験は北朝鮮がより精度の高い大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発するのに役立つ可能性があると指摘する。

全米科学者連盟(FAS)のシニアフェロー、アンキット・パンダ氏は「(兵器開発)プログラムを質的に向上させる余裕がまだ北朝鮮にあることを、米国は留意しておくべきだ」と指摘。その上で、「西海衛星発射場で行われた軍事的な活動の発表を、北朝鮮の国家宇宙開発局(NADA)ではなく国防科学院が行ったという点は良いヒントだ」とも述べた。

一方、ソウルにある東国大学のKoh Yu-hwan教授はロイターに対し、「北朝鮮が13日に核の抑止力を強化するための7分間の実験を行ったことを踏まえると、ICBMに関連した実験であった可能性が高い」と指摘。「北朝鮮は米国に対し、新たな提案とともに非核化協議に臨まなければ、核兵器開発に戻るという、最後通達を出す段階に近い」との見方を示した。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発、景気敏感株がしっかり TOPIX最

ビジネス

オリックス、純利益予想を上方修正 再エネの持ち分会

ビジネス

オリックス、自社株取得枠の上限を1500億円に引き

ワールド

台湾有事巡る発言は悪質、中国国営メディアが高市首相
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中