ニュース速報

ワールド

米中の「第1段階」通商合意、来年にずれ込む可能性 

2019年11月21日(木)13時42分

 11月20日 米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると、ホワイトハウスに近い関係者などが明らかにした。中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もそれに対応して要求を強めているという。上海で昨年7月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

[ワシントン 20日 ロイター] - 米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると、ホワイトハウスに近い関係者などが明らかにした。中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もそれに対応して要求を強めているという。

トランプ大統領とムニューシン財務長官は暫定合意を発表した先月11日、合意の文書化には最長5週間の時間を要すると述べていた。

通商関係者や協議の説明を受けた関係者によると、この発言から約5週間が経過した現在でも合意の見通しはまだ立たず、交渉がさらに複雑化する可能性がある。

トランプ大統領は20日、テキサス州で記者団に対し、米中通商協議について「私が望むレベルに中国が達しているとは思わない」とコメントした。

トランプ氏とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、知的財産権や技術移転といった核心問題に対応しない通商合意で、関税撤廃という大きな譲歩を行うのは望ましくないと考えているという。

中国の劉鶴副首相は20日夜に北京で行われたイベントでの講演で、米国との第1段階の合意について、慎重ながらも楽観していると述べた。米ブルームバーグがイベントの参加者の話として報じた。

同副首相はまた、参加者の1人に対し、米国の要求に「困惑」しているが、第1段階の合意は可能と確信していると語ったという。

一部の専門家は、中国製品約1560億ドル相当への追加関税が発動される12月15日が次の焦点だとしている。

米シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」のシニアフェローで、ブッシュ元政権などで顧問を務めたクリスチャン・ホワイトン氏は、交渉が首尾よく進めば追加関税は停止されると予想する一方、「そうでなければ、関税は発動され、交渉は来年までずれ込むだろう」と指摘した。

ホワイトハウスのディア報道官は「交渉は継続されており、第1段階の合意文書の文言を巡る進捗は見られている」と電子メールで述べた。

香港問題も、米中合意を複雑にしている。

中国の政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE)の主席研究員、Zhang Yansheng氏は、21日に行われたブルームバーグ主催のフォーラムで、香港問題は明らかに米中通商協議にとってマイナスの要因だと指摘。その上で、第1段階の合意は「混乱が無ければ」、年内に実現する見通しだと述べたが、詳細には言及しなかった。

米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決。中国は即座に反発している。

ホワイトン氏も「中国が指導する香港デモの暴力的な取り締まりが合意の可能性を低下させている」と指摘。「中国の警官隊が香港で(抗議デモに参加する)学生を抑圧する中で、中国の習近平国家主席はトランプ大統領と笑顔で合意文書に署名するために米国に招待されるだろうか」と述べた。

交渉を複雑化させている要因には、対中協議の姿勢を巡るホワイトハウス内の対立のほか、トランプ氏が直前に合意内容を拒否する可能性もあるという。

トランプ氏は19日、中国は「私自身が気に入る」ディール(取引)を行う必要があるとし、「われわれが中国とディールを行えなければ、単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べた。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報の胡錫進編集長は20日のツイッターへの投稿で、「米中が近く合意できると考えている中国人はほとんどいない」とし、「中国は合意を望んでいるが、貿易戦争の長期化という最悪のシナリオに備えている」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡

ワールド

トランプ氏、イランに48時間以内のホルムズ開放求め
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 7
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 8
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 9
    トランプ政権の「大本営」、イラン戦争を批判的に報…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中