ニュース速報

ワールド

米国防長官、韓国に在韓米軍の負担増要求 GSOMIA維持も要請

2019年11月15日(金)17時48分

 11月15日、エスパー米国防長官(左)は、在韓米軍の駐留経費について、韓国側の負担増額を求めた。代表撮影(2019年 ロイター)

[ソウル 15日 ロイター] - エスパー米国防長官は15日、在韓米軍の駐留経費について、韓国側の負担増額を求めた。

韓国が破棄を決めた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、協定を維持すべきだとの認識を示した。

韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相との会談後に会見で述べた。

北朝鮮の核問題については、外交を通じた解決に向けて、米韓共同軍事演習を柔軟に修正する必要があると指摘した。

ただ、米韓共同軍事演習を新たに中止する計画は発表しなかった。北朝鮮は14日、米国から非核化を巡る新たな協議の提案があったが、「北朝鮮の懐柔」を目的とする協議に応じる意思はないと表明した。

<在韓米軍の駐留経費>

エスパー長官は会見で、韓国の負担を増やす方向で米軍の駐留経費分担に関する合意を年末までに取りまとめることが極めて重要と表明。「(韓国は)裕福な国なので(在韓米軍のための費用負担を)増やすことが可能であり、増やすべきだ」と強調した。

鄭氏は、在韓米軍の駐留経費分担を取り決める協定について、公正で双方にとって合意可能な内容にすべきとの見解で一致したと述べた。

ただ、どの程度の負担が公正なのかを巡って、米韓の見解が一致しているのかは不明。

韓国議員が先週明らかにしたところによると、米政府は在韓米軍の駐留経費について韓国側の負担を最大で今年の5倍以上の年間約50億ドルに引き上げることを求めている。

韓国政府系シンクタンク、韓国統一研究院が先週発表した調査によると、韓国人の96%は駐留経費の負担拡大に反対している。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は15日、米国が在韓米軍の駐留経費の負担拡大を韓国に要求していることについて、「他国からの略奪」を通じて、アジアでの軍事力を強化しようとしていると論評した。

韓国外務省は、防衛費に関する次回の協議を今月18─19日にソウルで行うと発表した。

<GSOMIA>

エスパー長官は、韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて、軍の即応性に影響すると発言。「GSOMIAが失効し、日韓の摩擦が続けば、北朝鮮と中国が得をするだけだ」と述べた。

鄭氏は、エスパー長官とGSOMIAの破棄について個人的な意見交換をしたと発言。見解の差を縮めるため、GSOMIAが失効する今月23日まで、韓日両政府が努力すると述べた。ただ現時点では事態打開の兆しは見られない。

鄭氏は、エスパー長官との会談で米国による北朝鮮抑止のコミットメントと北朝鮮の非核化に向けた取り組みについて再確認したとも表明した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏独、中国の台湾周辺軍事演習に懸念表明 一方的な現

ワールド

ウクライナ、米軍駐留の可能性協議 ゼレンスキー氏「

ワールド

ロ、和平交渉で強硬姿勢示唆 「大統領公邸攻撃」でウ

ワールド

ウクライナ支援「有志連合」、1月初めに会合=ゼレン
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中